最新画像
2011.03.09(水)
インドのロケット打上げ基地のあるシュリーハリコータ
文字表示
文字非表示
図1は、ALOS(だいち)が2010年9月に撮影した、インド南東部のコロマンデル海岸に広がっているシュリーハリコータ砂州の一部です。チェンナイ(以前はマドラスと呼ばれていました)から北方約80kmに位置し、ベンガル湾に面しています。画像中央のプリカット湖は、インドで2番目に大きい湖で、ベンガル湾とは砂州で隔てられています。シュリーハリコータ砂州は、シュリーハリコータ島を中心に南北に続き、全長は数100kmに及びます。
画像中央の砂州がふくらんだ部分、シュリーハリコータ島にサティシュ・ダワン宇宙センターがあります。以前はシュリーハリコータ発射場と呼ばれていましたが、2002年、インド宇宙研究機関(ISRO)の前局長、サティシュ・ダワンが亡くなったことを受け現在の名称になりました。インド唯一の人工衛星の発射場です。
文字表示
文字非表示
図2は、シュリーハリコータ島中央部の拡大画像です。湖を横断している道路が画像中央に見える施設に接続しています。ここがインドのロケット打上げ基地で、ロケットの組み立て、打上げ管制、衛星追跡などのための諸施設が建設されています。1971年10月に、初めて観測ロケットが打ち上げられています。
文字表示
文字非表示
図3 打上げ射点
(Google Earthで見る打上げ射点(kmz形式、4.83MB低解像度版))
島の中央の管制センター東側に、現在2つの発射台がありますが、2015年までには有人ロケット打上げのため3番目の発射台が建設される予定です。
インドの打上げロケットについて
インドでは、人工衛星打上げロケットとして、SLV(Satellite Launch Vehicle)、ASLV(Augmented Satellite Launch Vehicle)PSLV(Polar Satellite Launch Vehicle)、GSLV(Geosynchronous Satellite Launch Vehicle)の4種類のロケットが開発されてきました。SLVは、インドが初めて開発した4段式の全段固体ロケットで、高度400 kmに40kgの人工衛星を投入する能力をもっていました。1980年7月に初めての人工衛星の打上げに成功しています。1983年に最後の人工衛星が打ち上げられました。
ASLVは、SLVを元に打上げ能力を増強したロケットで、5段式固体ロケットです。4回ほど打ち上げられましたが、PSLVの開発に力を注ぐため、終了しています。PSLVは、太陽同期軌道や静止移行軌道に人工衛星を投入する能力をもっています。4段式で、1段と3段は固体ロケット、2段と4段は液体ロケットとなっています。2008年10月には月探査機のチャンドラヤーン1号が打ち上げられています。現在のインドの打上げロケットの主力となっています。
GSLVは、低軌道及び静止移行軌道に大型の人工衛星を投入することを目指して開発が進められています。液体燃料ブースターと第3段に低温燃料エンジンを採用し、何回か打上げ実験が行われています。
観測画像について
観測衛星: | 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS) |
観測センサ: | 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)及び パンクロマチック立体視センサ(PRISM) |
観測日時: |
2010年9月24日5時16分頃(世界標準時間)(AVNIR-2、PRISM同時観測) 2010年2月 6日5時19分頃(世界標準時間)(AVNIR-2)(図2、3) 2009年5月 6日5時18分頃(世界標準時間)(PRISM)(図2、3) |
地上分解能: | 10 m(AVNIR-2)および2.5 m(PRISM) |
地図投影法: | UTM(ユニバーサル横メルカトール) |
AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。
濃緑: | 林 |
明るい緑: | 草地 |
茶色: | 裸地、砂地 |
青: | 水域 |
白: | 道路、建物、雲、砂浜 |
(図2、3)
PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2の、バンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1 (420〜500ナノメートル)を赤、緑、青色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。図2、3はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。