重点テーマ:森林クレジット

―衛星観測による森林バイオマスのモニタリングとカーボンクレジットの創出―

目指す便益:日本の官民衛星データを活用した自然系クレジット市場の獲得

日本の官民衛星データを活用し、自然系クレジット市場を国内外で獲得することを目指します。そのために、森林バイオマスや自然資本を衛星観測から把握する効果的な手法を確立し、我が国の民間企業が、ネット・ゼロ実現に資する本サービスを世界に先駆けて展開することを推進します。

図1. 衛星観測による森林状況把握の効率化と高度化 

これまでは、樹高や森林資源量の計測・継続的なモニタリングには多くの人手やコストがかかっていました。しかし、衛星データを活用することで、世界中のどこでも地上部バイオマスを直接推定できるようになり、クレジット発行までの期間短縮やプロジェクト全体のコスト削減が期待されます (図1) 。

さらに、森林価値をより容易に可視化できるようにすることで、定期モニタリングによる施業管理の効率化や、客観的データに基づくグリーンウォッシュ対策への寄与など、宇宙産業を通じた森林カーボンクレジット市場の拡大にも貢献することを目指します。

共創活動:国内外における社会実装

地球温暖化の抑制において、温室効果ガスの一つである二酸化炭素(CO2)を吸収する森林は大きな役割を果たしています。森林の間伐などの適切な管理によって、CO2の吸収量を価値化する仕組みがカーボンクレジット制度です。JAXAは以下の国内外の便益共創パートナーと連携し、これまで培った衛星による森林観測・解析技術を実装し、自然資本の価値化に新たな手法を提案することを推進しています。

・国内活動(林野庁・民間企業):
国家森林インベントリ(NFI)を保有する林野庁、さらに森林保有者やクレジット発行実績を有する民間企業と連携し、これまでに取得された現地データや航空機観測データと衛星による森林観測データを評価し、森林資源量(バイオマス)や樹高の推定アルゴリズムの精度を高めています(図2)。このような活動によりJクレジット制度等、国内のカーボンクレジット算定方法論(※)への適用を目指します。
※方法論:CO2の排出削減・吸収量を適正に算出するために、技術やプロジェクトごとに定められた公式な算定ルール。

・国際活動(海外政府機関・民間企業):
現地の森林データを有する政府機関やクレジット発行実績を持つ民間事業者等と連携し、国内活動と同様にバイオマスや樹高の推定アルゴリズムの精度を高め、カーボンクレジット制度への適用を目指します。

図2. 衛星から作成した森林バイオマスマップ
(左)日本ver.2 2020-2023年、(右)カンボジアver.1 2023年

技術開発の内容

JAXAでは、Lバンド合成開口レーダ(SAR)を搭載した陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)および先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)の観測による世界最長のLバンドSARデータの継続性を活かし、広域における炭素蓄積量を迅速に可視化するバイオマスマップのアルゴリズムの開発を進めています。

現在、LバンドSARデータを用いた「樹高推定」および「バイオマス推定」という、技術的難易度の高い2つの課題に取り組んでいます(※1)。
今後は、JAXAが開発中の高度計ライダーや他の衛星データとの統合解析により、さらなる精度の向上を追求してまいります。
※1詳細な技術データ・マップはこちら:高解像度森林地上部の炭素蓄積量・バイオマス・材積・樹高

本取り組みは、令和5年度に選定された戦略プロジェクト「カーボンニュートラルの実現に向けた森林バイオマス推定手法の確立と戦略的実装」(宇宙開発利用加速化戦略プログラム)において実施され、令和8年度からはJAXA事業として実施しています。

関連サイト

高解像度森林地上部の炭素蓄積量・バイオマス・材積・樹高
高解像度土地利用土地被覆図
農林水産業 -衛星利用分野-

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