空間上の地点や区域を示す情報と、それに関連付けられる情報のことを、地理空間情報と呼びます。災害時の状況把握や、地図等のビジネスでの利用をはじめ、様々な活用が広がっています。
日々変化する地理空間情報を収集するために、伝統的には人手による測量や航空機、最近ではドローン等も使われていますが、一度に計測や撮影できる範囲が限られるため、多くの時間と予算が必要です。そこで、広範囲を観測できる地球観測衛星データを活用することで、効率的な情報収集が可能となります。
一例を挙げると、国土交通省国土地理院では、「だいち」(ALOS)の光学センサデータを活用することで離島の位置について調査し、地形図の更新を行いました。これにより、硫黄島は約25年ぶりに地形図が更新されました(図1)。
世界において地図が整備されていない国では、衛星データを利用した地図の作成や国土の状況把握をしている国もあります。
膨大な衛星データを用いて、全世界の3次元地図を作成することもできます。都市開発や災害シミュレーション等での活用が考えられます(図 2)。
また、地球の表面は地震や火山噴火時の自然現象や地盤沈下等の人的要因により、日々、目に見えないゆっくりとした変動をすることがあります。「だいち」シリーズに搭載された合成開口レーダ(SAR)センサのデータを活用することで、この変動を目に見える形で捉えることができます(図3)。
このように、地理空間情報の収集を広域で効率的に行う際には、衛星データが活用されています。今まで人や航空機で行ってきた作業を、衛星データを併用もしくは代替することでより効率的に実施できることが期待できます。また、衛星データと他のデータを組み合わせることで、Society 5.0やデジタルトランスフォーメーション(DX)といった社会の実現に、貢献していきます。