重点テーマ:防災DX

― 衛星データを活用して安心できる社会づくりを支援 ―

目指す便益:デジタル技術を活用して、より効果的・効率的で高度な防災・減災への取り組みを推進する

防災DXの取り組み・ニーズの高まり

  • 今後、南海トラフ地震、首都直下地震等の巨大地震が高い確率で発生すると予測され、広範囲に甚大な被害をもたらす可能性が懸念されています。
  • 近年、日本では気候変動等の影響により水・土砂災害が激甚化、頻発化しています。地球規模で見ても、直近の20年間はその前の20年間と比較すると、風雨等の異常気象を中心とした自然災害発生数が増加し、経済損失が拡大しています。防災に関する取り組みの推進は、海外においても喫緊の課題となっています。
  • このような状況に対して、ICT等デジタル技術を積極的に活用して防災・減災、復旧、復興に向けた対策をDX化し、より効果的・効率的に対応する「防災DX」の取り組みが進められています。

参考: 「防災立国の推進に向けた基本方針」(令和7年12月26日閣議決定)より抜粋

参考:
防災立国の推進に向けた基本方針(令和7年12月26日閣議決定)
デジタル庁 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2025年6月13日)

災害対応における衛星地球観測の強みと貢献

  • 災害対応において、地球観測衛星は「広範囲」「周期性」「アクセス性」「均質性」といった強みを活かし、防災DXにおいて必要不可欠なインフラとして貢献します(図1)。
  • 「防災デジタルプラットフォーム」の強化・利活用の推進に対して、衛星データを活用した早期かつ広範囲の被害推定域把握に貢献するため、JAXAは官民衛星の連携運用・アーキテクチャ検討等に資する技術支援を実施しています。

図1. 災害対応における衛星地球観測の強みと貢献

共創活動:衛星地球観測の官民連携による災害対応訓練(防災ドリル)

(1) 便益共創パートナー

① 内閣府政策統括官(防災担当) (内閣府防災)
 ▶︎ JAXAと連携し、災害発災時における官民の衛星観測の在り方などの検討を行います。

② 民間企業
 ▶︎ 民間衛星の観測データを災害対応で活用するための実証を行うことで、市場を開拓します。

(2) 便益獲得に向けた共創活動

  • 政府機関での防災DXの推進に加え、民間側でも防災DXサービスの提供・公開や、国内及び海外への防災技術の展開に向けた取り組みが始まっています。
  • このような中、国内での災害発生時に官民衛星が効果的に連携し、迅速な緊急観測等へ対応できる体制を確認・強化することを目的として、2024年度から災害対応訓練「防災ドリル」を実施しています(図2、図3)。
  • 2024年度および2025年度の防災ドリルではCONSEOが事務局となり、官民の関係者と災害対応におけるあるべき姿を議論しながら、「官民連携した衛星観測のシナリオ」を作成・更新しました。
  • 防災ドリルの議論を通して識別された主な課題は、以下の3点です。
    ①衛星の機数を増やすこと
    ②司令塔機能を確立すること
    ③官民連携を持続的な活動とするため、経済的に成立する仕組みを構築すること

図2. 2025年度防災ドリルの参加機関
図3. 2025年度防災ドリルにおける官民衛星の観測範囲

参考:
宇宙開発利用部会(第104回)資料:「衛星地球観測の官民連携による 災害対応訓練(防災ドリル)の結果報告」

技術開発:衛星画像解析技術の高度化と社会実装

衛星データを活用した早期かつ広範囲の被害推定域把握に貢献するため、JAXAでは各種解析技術の精度向上・即応性向上等を目指した以下の技術開発に取り組んでいます。

(1) 浸水被害域推定プログラム

陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)、先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)の画像(災害発生前および災害発生後に観測した画像)を用いて、浸水被害の範囲を推定するプログラムです。「だいち2号」「だいち4号」での緊急観測から2.5時間後に、政府防災ユーザに浸水被害域の推定情報を提供しています(図4)。
参考:「だいちシリーズによる浸水被害推定の自動解析手法」

図4. 「だいち2号」の画像を用いた浸水被害域自動抽出情報

(2) 建物被害推定プログラム

「だいち2号」「だいち4号」の画像(災害発生前および災害発生後に観測した画像)を用いて、建物被害を推定するプログラムです。現在は、自治体から提供された過去の実災害の被害情報を反映することにより、プログラムの精度向上や汎用性向上に取り組んでいます(図5)。

図5. 建物被害推定プログラムによる建物被害の推定結果(赤い点が建物被害の推定箇所)

(3) 火災検知・火山監視の社会実装推進

気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)画像を用いて、火災検知や火山を監視するプログラムの技術開発も進めています。解析結果は政府ユーザ機関に共有しており、今後は関係機関と協力して社会実装を推進していく計画です(図6)。

図6. 「しきさい」の画像を活用した火災検知・火山監視の例

参考:
衛星 「しきさい」(GCOM-C)等による軽石観測情報
福徳岡ノ場の噴火と新島~衛星観測による新島形成・変色水・軽石・火山ガス・噴煙の把握~

関連サイト

災害対策 –災害に対するJAXAの取り組み-–
2025年緊急観測一覧
JAXAの衛星観測による防災の取り組みが紹介されました
人工衛星を活用した建物被害推定プログラムに関する協力覚書を締結
だいちシリーズによる浸水被害推定の自動解析手法

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