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2026.04.16(木)
【速報】 EarthCARE衛星(はくりゅう)がとらえた台風4号(Sinlaku)の「眼」
EarthCARE衛星(はくりゅう)は、2026年4月13日に太平洋上で発達した台風4号(Sinlaku: シンラコウ)の「眼」の直上を通過し、台風の雲の鉛直構造を詳細に観測しました。

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太平洋沖で発生した台風4号は4月14日の時点で、急速に発達しながらマリアナ諸島付近を北北西に進んでいました(図1左)。JAXAと欧州宇宙機関(ESA)が開発した雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」衛星(和名:はくりゅう)は、この台風4号の発達した「眼」の直上を通過し、宇宙から台風雲の内部構造を詳細に観測しました。図1は静止気象衛星ひまわり9号の雲分布画像で、台風4号は日本の南東方向に位置していました。図1右に示すひまわりの赤外画像では、台風の眼がはっきりと形成されていることが確認でき、その直上(紫線)をはくりゅうが通過しています。図2は、はくりゅう搭載の多波長イメージャ(MSI)がとらえた台風4号の雲分布画像をひまわりの観測画像に重ねた図です。カラーマップはMSIから推定した雲の厚さ(雲光学的厚さ)で、台風の中心部付近の雲が非常に分厚いことがわかります。





図3と図4は、はくりゅうの雲プロファイリングレーダ(CPR)でとらえた台風4号雲内部の鉛直断面構造を示しています。雲の鉛直構造に着目すると、高度15km以上にまで達する非常に背の高い雲が広く連なって分布していることがわかります。緯度12.33度付近には雲のない空洞の領域がはっきりと現れており、これが台風の眼の部分です。図3の雲断面図で赤い領域(レーダ反射因子の値が大きい領域)は、雲や雨の粒が大きい、あるいは数多く存在していることを示しています。台風の眼がある中心部から両側に分厚い雲の壁が広がっていることが読み取れます。さらに図5では、はくりゅう搭載の大気ライダ(ATLID)による観測結果を示しています。ATLIDは、CPRでは検出が難しいような薄い雲を検出することができるセンサで(台風の下層は信号が減衰されているものの)、台風の上空に広がる薄い雲の層の分布がよく見えています。とくに台風の眼付近では高度17〜18kmにまで達するほど非常に発達していることがわかります。
図4では、CPRで観測した台風雲内部の雲粒や雨滴を含むの上下方向の動き(ドップラー速度)を示しています。高度5km以下では、全体的に負の値(青色)を示しており、台風の雨滴の速い落下速度と対応しています。一方、高度5km以上では、ドップラー速度の値は小さく、雪の粒子が緩やかに漂うか、緩やかに落下している様子を捉えていると考えられます。中心部の台風の眼を取り囲む壁雲の周辺では、局所的にドップラー速度の正負が入り乱れるように観測されています。CPRで観測できるドップラー速度の値には限度があり、観測可能な最大速度(ナイキスト速度:おおよそ絶対値5m/s)を越えた場合には、本来の雲粒の動きとは逆向き、あるいは別の速度として表示されるような現象(ドップラー速度の折り返し)が起こります。一般に台風の壁雲には強い上昇流が存在するとされていますが、図4で壁雲においてドップラー速度の値が正負に変動している特徴は、ナイキスト速度を越えるような非常に大きな速度で雲粒が動いているためと考えられます。
このように台風の断面構造とともに、内部の雲粒・雨粒の落下や上昇を宇宙から詳細に観測できることが、はくりゅうの強みです。今回のように発達した台風の中心部をちょうど通過して観測できたのは極めて稀なケースであり、台風の科学的理解を促進する貴重な観測事例となりました。
JAXA地球観測研究センター(EORC)は、「JAXA/EORC台風データベース 」ウェブサイトを開発・運用し、はくりゅうの観測データから雲の3次元動画を自動生成・公開する機能を有しています。またJAXAのさまざまな地球観測衛星が台風を観測した画像・動画も公開しています。今後も、台風画像や動画が作成され次第、逐次、ウェブサイトより公開していきます。
- JAXA/EORC台風データベース
https://sharaku.eorc.jaxa.jp/TYP_DB/index_j.html
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