日本は、四方を海に囲まれ、世界第6位の広大な排他的経済水域を持つ海洋国家です。その日本にとって、船舶による海上の貿易や交通、造船業等によって発展してきました。また、さまざまな海洋の水産資源の恩恵を受けてきました。一方で、近年、海難事故の頻発や、深刻化する気象災害や海域で発生する地震や津波、海洋汚染、資源管理の効果を損なう違法、無報告、無規制(IUU)漁業等、海洋における数多くの脅威が顕在化しています。そこで、国家レベルの問題(防衛、安全、経済等)に影響を与えうる海洋情報を共有し、海洋からのさまざまな人為的または自然の脅威に対応するための情報共有基盤・枠組みとしての海洋状況把握(MDA:Maritime Domain Awareness)が、非常に重要になってきました。
海洋は、非常に広大であり、その膨大な情報を収集することにより、MDAを確立するには、人工衛星による観測が不可欠です。JAXAではさまざまな人工衛星により、船舶や海洋に関するデータを収集し、その情報を束ねる形で政府機関に提供することにより、MDAに貢献しています。また新たな衛星システムや衛星観測データ解析技術等の研究開発を行い、政府機関に対して衛星データ利用に関する技術や知見の提供・助言を行っています。