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災害対策

災害対策に対するJAXAの取り組み

災害大国ともいわれる日本は、これまで、台風、豪雨、豪雪、土砂災害、地震、津波、火山噴火などの自然現象により多くの被害を受けてきました。これまでの自然災害により被災された皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。
自然災害による被害を軽減するためには、被害状況を早期にかつ迅速に把握することが重要です。また火山噴火など、災害によっては、定期的な監視により災害の予兆を捉えることで、被害を未然に防ぐことが期待できます。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)をはじめとした人工衛星は、広い範囲を定期的に観測することができます。私たちJAXA衛星利用運用センター(SAOC)では、自然災害による影響を最小限に抑え、皆さんがより安心して生活できる社会を作りたいと願い、活動を行っています(表1)。

表1:地球観測衛星の災害対策に向けた活動

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防災関係機関との連携

私たちの活動は、内閣府や国土交通省などの防災関係機関の要求に基づいて2006年より開始し、少しずつステップアップしてきました。現在は、内閣府等の指定行政機関、火山噴火予知連絡会、地震予知連絡会、地方公共機関体などの防災関係機関と連携して活動しています(図1)。

 

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図1:政府、地方公共機関との連携

ここでは、防災関係機関と災害時の緊急観測対応だけでなく、定期的に会合を行うことで、人工衛星の観測計画の改善や衛星データの防災への利用方法など、現状の課題やユーザニーズ等を把握し共有しています。その結果、防災機関の災害対応をより効果的に支援するための衛星データから提供できる情報の高度化や、より迅速な情報提供を実現しています。また、「だいち」シリーズなどの新しい地球観測衛星の検討にも反映していきます。

地球観測衛星による緊急観測

自然災害が発生した際は、連携している防災関係機関からの要請を受け、「だいち2号」等の地球観測衛星による緊急観測を行います。観測したデータおよびデータより得られた被災情報は防災関係機関に提供され、被害状況の把握などの防災・減災活動に役立てられています。
JAXAは、防災関係機関との衛星データの共有のために、「防災インタフェースシステム」を開発し、2020年10月より運用を開始しました(図2)。防災・災害対応を行う国内外の機関からの緊急観測やプロダクト提供に係る要求の受付、光学及びレーダ観測データから生成した各種プロダクトの提供をワンストップサービスで実現するシステムです。

 

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図2:防災インターフェースのTOP画面

JAXAは、災害発生時の緊急対応だけでなく、災害後に被害が拡大するのを防ぐためのモニタリングも行っています。例えば、豪雨により河道閉塞(大量の土砂が河川の水の流れをせき止めること)が確認された場合には、それが決壊すると大規模な土石流が発生することが予想されます。そのような二次災害を防ぐために、災害後にも観測を行い、防災関係機関に情報を提供しています。

主な国内災害における緊急観測対応
2011年3月の東日本大震災
2015年9月の関東・東北豪雨災害
2016年4月の熊本地震災害
2018年7月の平成30年7月豪雨災害
2019年10月の東日本台風災害
2020年7月の令和2年7月豪雨災害

こちらでは、過去の主な観測事例を元に、JAXAの災害毎の対応の概要をご紹介します。

平常時の定期的な観測

地震予測は非常に困難だとされている一方で、例えば火山噴火は、定期的な観測を行うことで、その予兆をある程度把握することができます。JAXAは、災害発生時の緊急対応だけでなく、平時の地殻変動や活火山の監視などを通したデータ提供や研究開発により、地球観測衛星データの有効性の検討や実証を行っています。
地上の観測機器と比較した人工衛星による定常観測の利点は以下が挙げられます。

・面的な情報を広範囲で得ることができる

・ 遠方離島や海底火山などの地上観測が困難な火山や、噴火などで地上観測機器から情報が得られない火山でも、情報を得ることができる

・だいち2号」等の合成開口レーダであれば、悪天候時や噴煙が見られる場合でも、火口付近などの地表面の情報を得ることができる

定期的な火山観測の例

「だいち2号」による小笠原諸島西之島の観測について

国際的な防災枠組み

国内の自然災害にとどまらず、海外での自然災害時にも、被災国の防災機関の要請に基づき緊急観測を実施し、衛星データや被災状況などの解析結果を提供しています。JAXAは国際的な防災枠組みとして、センチネルアジア国際災害チャータに加盟し、私たちのデータが世界でも防災・減災に活用されるための活動をしています。特にセンチネルアジアでは、JAXAが執行事務局として中心的な役割を担い、アジア太平洋地域での活動を主導しています。

それぞれの活動についての詳細


主な国際防災活動
2015年4月 ネパール地震
2015年6月 西ブータン 氷河湖決壊洪水
2015年7月 ミャンマー 豪雨
2017年9月 米国 ハリケーン豪雨
2018年2月 台湾地震
2018年7月 ラオス 洪水
2018年8月 ミャンマー 洪水
2018年9月 インドネシア 地震
2020年1月 フィリピン 火山噴火災害
2020年8月 モーリシャス沿岸における油流出事故をうけた「だいち2号」の観測協力

参考資料

宇宙からの災害監視「だいち2号」災害事例集2014~2019

JAXAは、「だいち2号」による災害発生時の緊急観測を数多く実施してきました。これらの観測データは、国内外の防災関係機関に活用されています。本書では、「だいち2号」の特徴を生かした災害状況把握の事例を詳しくご紹介します。

宇宙からの災害監視 「だいち2号」災害事例集2014~2019(53 MB)

 

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先進光学衛星「だいち3号」災害判読事例集

(準備中。2021年夏頃公開予定。)
「だいち3号」は、2021年度にJAXAで打ち上げを予定している光学衛星です。本書では、過去の災害時に取得した光学衛星や航空機のデータを元に作成した「だいち3号」のシミュレーション画像を紹介し、災害時に「だいち3号」の観測データからわかることを解説します。

東日本大震災対応報告書
~地球観測衛星及び通信衛星による対応の記録~

2011年3月11日の東日本大震災におけるJAXAの対応の記録です。地球観測衛星及び通信衛星を活用し、国内外の機関との協力して行った活動をまとめています。
PDF低解像度版:一括ダウンロード(7.3MB)
PDF高解像度版:目次

Report on JAXA’s Response to the Great East Japan Earthquake
~ Assistance using earth observation satellites and communication satellites ~

PDF English version:Low resolution(15.8MB)
PDF English version:High resolution

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災害時の人工衛星活用ガイドブック(初級者向け)

国土交通省と共同で、災害時の人工衛星画像の活用を促進するために作成したガイドブックです。冒頭では人工衛星やセンサの特徴、観測の仕組みなども掲載しています。発災時における被害状況把握の手法、災害対応初動期におけるフロー、被害域の抽出手法等を説明するとともに、活用事例を紹介しています。

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◎水害版

・ 災害時の人工衛星活用ガイドブック 水害版・衛星基礎編(PDF形式)
人工衛星、センサ、ALOS-2(陸域観測技術衛星2号)、SAR(合成開口レーダ)画像解析の概要 等

・ 災害時の人工衛星活用ガイドブック 水害版・浸水編(PDF形式)
SAR画像の活用、浸水解析・判読、判読精度の違い、判読事例

◎土砂災害版

・ 災害時の人工衛星活用ガイドブック 土砂災害版(PDF形式)
衛星の特徴と仕組み、衛星画像の主な解析手法、土砂災害対応初動期における活用、活用時の留意事項、過去の活用事例

災害対応マニュアル (中級者以上向け)

本書では、衛星データによる災害情報の抽出手法の例をより詳細に紹介します。また、災害解析・判読結果を利用者が活用しやすい情報として提供するための表現方法や、防災関係機関における利活用モデルなどについて検討しています。
なお本書は「ALOS後継機衛星データを想定した防災利用のための山陽地方での地域連携に関する研究」(2013年)にて広島工業大学に作成を依頼しました。

ALOS後継機衛星データを想定した防災利用のための山陽地方での地域連携に関する研究 災害対応マニュアル(8.5MB)

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