災害

2025.10.23(木)

フィリピン・セブ島沖およびミンダナオ島沖での地震における「だいち2号」による観測

2025年9月30日にフィリピン・セブ島北部沖でマグニチュード6.9の地震が発生しました。また、10月10日には同国・ミンダナオ島南部沖にてマグニチュード7.4の地震が発生しました。

JAXAが事務局を務めるセンチネルアジアでは、これらの地震に対して、人工衛星「だいち2号」を活用した防災活動を行いましたのでご紹介します。

9月30日

日本時間9月30日23時頃にセブ島北部で地震が発生しました。その後、センチネルアジアメンバーであるフィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)およびフィリピン環境天然資源省鉱山地球科学局(MGB)からの要請にもとづいて、センチネルアジアが発動されました。JAXAは「だいち2号」での緊急観測の機会を調整し、表1のタイムラインで観測および情報提供を行いました。

日付 時刻(日本時間) 対応状況
2025/9/30 23:00頃 セブ島北部で地震発生
2025/10/1 15:00頃 PHIVOLCSおよびMGBの要請に基づいてセンチネルアジア発動。JAXAでは「だいち2号」による緊急観測の調整を開始
2025/10/2 23:53 「だいち2号」にて緊急観測を実施
2025/10/3 15:00頃 センチネルアジアメンバーである南洋理工大学(EOS)が解析した被害推定マップ(図1)を提供
表1 2025年9月30日フィリピン・セブ島北部の地震後のJAXAおよびセンチネルアジアのタイムライン

観測機会や災害種別に適した観測モードや過去撮像データの有無等によりタイムラインは変動します。今回は発災後から情報提供まで約3日でタイムリーに対応することができました。

図1はEOSが「だいち2号」の観測データを解析した「被害推定マップ」です。地震前後の地表面上の変化が推定される箇所を黄色から赤色のグラデーションで示しており、変化が大きい、つまり建物などの被害が推定される可能性がより高い箇所を赤色で表示しています。

図1 「だいち2号」の観測データ(10月2日観測)を用いてEOSが解析した被害推定マップ

本対応について、図2のとおり2025年10月7日に在フィリピン日本国大使館のウェブサイトに掲載されました。

図2 在フィリピン日本国大使館のウェブサイトにおける10月2日の「だいち2号」緊急観測に関する内容

10月10日

日本時間10月10日9時45分頃にミンダナオ島南部沖にて地震が発生しました。その後、9月30日の地震と同様にセンチネルアジアメンバーであるPHIVOLCSからの要請にもとづいて、センチネルアジアが発動されました。その後、JAXAでは「だいち2号」による10月16日23:53頃の緊急観測を実施しました。

今後もセンチネルアジアを通じて、JAXAは国内外の関係機関との連携を深め、災害等の支援に協力してまいります。

センチネルアジアとは:

  • 「センチネルアジア」は、宇宙技術を活用してアジア太平洋地域の災害管理への貢献を目的とする、国際協力プロジェクトです。
  • 地球観測衛星画像などの災害関連情報をインターネット上で共有し、自然災害による被害を軽減することを目指しています。宇宙機関に加え、衛星データを解析し被害状況などの情報を提供する研究機関や、提供されたデータや情報を防災活動に利用する防災機関等、合計127の機関が加盟しています(2025年10月現在)。

関連リンク:

センチネルアジア(英語)
センチネルアジア フィリピン・セブ島地震に対する緊急観測対応ページ(英語)
センチネルアジア フィリピン・ミンダナオ島地震に対する緊急観測対応ページ(英語)
国内・国外の自然災害における「だいち2号」による緊急観測対応について(2024年1月~12月)

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