利用事例
2023.06.15(木)
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」への貢献
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」は、「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことを目標にしています。この大きな目標はかなり抽象的であるため、目標を達成するために9個の具体的なターゲットが設定されています。その中で11.3というターゲットは、「2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する」とより具体的に定めて、居住計画や管理能力の強化を掲げています。
「持続可能な人間居住計画・管理の能力」の進捗度合を測るために、SDGsでは、それぞれのターゲットに「指標」が設定されており、ターゲットの達成状況を測定し、比較・評価することが可能になっています。ターゲット11.3には次の2つの指標が設定されています。
- 人口増加率と土地利用率の比率(指標11.3.1)
- 定期的かつ民主的に運営されている都市計画及び管理に、市民社会が直接参加する仕組みがある都市の割合(指標11.3.2)
これら指標に関する情報の収集について、SDGsではターゲットごとに担当する国連機関が決められており、その機関が必要な情報を収集するためのデータソースや手法(メタデータ)を公開しています。ターゲット11.3は国連人間居住計画(UN-Habitat)が担当しており、指標11.3.1のうち人口増加率は国勢調査等のデータから、土地利用率は衛星が取得した画像によって計算できると説明されています。
人工衛星のデータを用いると、土地がどのように利用されているか(土地利用)、または地表が何に覆われているか(土地被覆)を分類・把握することができます。その情報を土地の管理や開発の計画、環境のモニタリングなどに利用する取り組みは以前から実施されています。JAXAも陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)や「だいち2号」(ALOS-2)などが観測したデータを基に「高解像度土地利用土地被覆図」を作成・公開しており、このデータを指標11.3.1が定める土地利用率の計算に利用することができます。
また、日本では、官民の間でデータの相互利用を推進するために総務省が設置した「ビッグデータ等の利活用推進に関する産官学協議のための連携会議」において、人工衛星などの観測データを用いたSDGsの指標に関する試算や検証が行われています。指標11.3.1については、国内の政令指定都市を対象域として、JAXAの⾼解像度⼟地利⽤⼟地被覆図を含めた日本が有するデータを用いて試算と検証を行い、人口増加率と土地利用率の比率の計算に成功しました。計算された諸都市の数値や計算方法はJAPAN SDGs Action Platformに掲載されています。