利用事例

2022.03.17(木)

パリ協定グローバル・ストックテイクへの共同サブミッションの提出
-衛星観測で気候変動対策に貢献-

JAXAは、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、独立行政法人国際協力機構(JICA)、ANAホールディングス株式会社、ブラジル環境・再生可能天然資源院、日本ソロ地球観測合同会社(soloEO)、国際湿地保全連合(Wetlands International)等との協力により、パリ協定の第1回グローバル・ストックテイク(Global Stocktake: GST)に対して5件の共同サブミッションを提出いたしました。

2021年11月、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)にて、パリ協定の実施ルールが完成しました。2022年以降、各国はこの合意されたルールに則り、パリ協定の目標達成に向けて更なる野心的な行動を取ることが求められます。GSTはこのパリ協定の長期目標の達成に向けた世界全体の進捗状況を評価する仕組みです(パリ協定第14条)。

第1回GSTは、COP26(2021年)から、COP28(2023年11月予定)にかけて実施されます。約2年の期間をかけ、GSTでは、「衡平性」と「最良の科学」の2つの原則のもと、世界の政府・非政府ステークホルダーから気候変動の「緩和」·「適応」·「実施手段と支援」に関する情報が収集、評価され、成果物として取りまとめられます。

この度JAXA はGSTに、パリ協定の実施促進に有用な情報として、JAXAやJICAが有する地球環境問題の解決に資する最新の科学的成果や優良事例を提供しました。JAXAはCOP17(2011年)以降、継続的に気候変動枠組条約締約国会議において、JAXAが世界をリードする地球観測衛星の観測技術やデータから得られた温室効果ガスや森林観測の成果等を発信してきました。JAXAはこれからも様々なパートナーとともに、地球全体の危機である気候変動問題の解決を目指して、宇宙技術と知見による貢献を続けてまいります。

5件の共同サブミッションは、以下のリンクから御覧頂けます(原文は英語)。

  1. The decadal global atmospheric greenhouse gas concentration trends observed by Japan’s Greenhouse gases Observing SATellite (GOSAT) / GOSAT・10年スケールでの世界の温室効果ガス濃度の観測
    共同提出機関:IGES
    概要: 全球温室効果ガスの濃度分布を13年間観測し続ける温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)衛星のデータから、二酸化炭素及びメタン 濃度が上昇傾向であることを示した。

  2. The JAXA/GOSAT GHG product for tracking city-level emission changes / GOSAT・都市レベル温室効果ガス排出量のトラッキング
    共同提出機関:IGES
    概要: GOSATのJAXA研究プロダクト(二酸化炭素)が、COVID19パンデミックの影響により、東京の排出量が減少したことを示した。

  3. Real-time anthropogenic emission observations from Japanese passenger aircrafts in support of the monitoring of the climate mitigation progress / 日本の一般旅客機を活用したリアルタイムでの温室効果ガス排出量の観測
    共同提出機関:IGES、ANAホールディングス株式会社
    概要:GOSATセンサを応用した観測機器をANAの旅客機に搭載し、日本の都市部における排出分布のリアルタイム観測と可視化を行うGOBLEUプロジェクトを紹介。

  4. A satellite-based deforestation monitoring system for tropical forests, “JICA-JAXA Forest Early Warning System in the Tropics (JJ-FAST)” / 熱帯林違法伐採の検知(JJ-FAST)
    共同提出機関:JICA、ブラジル環境・再生可能天然資源院(Brazilian Institute of Environment and Renewable Natural Resources:IBAMA)、IGES
    概要:陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の観測データを用いた「JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム」(JJ-FAST)による世界78か国における森林変化監視サービスの提供と、ブラジルにおける取り締まりにおける利用事例を紹介。

  5. Satellite-based map of global mangrove extent and changes: Global Mangrove Watch (GMW)/ 世界のマングローブ林面積・変化(GMW)
    共同提出機関:IGES、アベリストウィス大学(Aberystwyth University)、日本ソロ地球観測合同会社 (soloEO)、国際湿地保全連合(Wetlands International)、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(The Nature Conservancy)
    概要:気候変動の適応と緩和への貢献事例として、JAXAの「ふよう」(JERS-1)、「だいち」(ALOS)、「だいち2号」(ALOS-2)に搭載の合成開口レーダ(SAR)データによる年別全球マングローブ面積及び変化情報を捉える取組みと成果を紹介。

参考情報:

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