災害
2021.10.29(金)
沖縄本島に接近・漂着している軽石の衛星観測情報
概要:
10月23日ごろから現在にかけて大量の軽石が沖縄県に漂着し、船舶の航行や漁業、観光等に被害が出ています。これは8月13日に南方諸島にある海底火山、福徳岡ノ場が噴火して発生した大量の軽石です。2か月にわたり洋上を漂流し、1400km離れた沖縄本島に至りました。JAXAは、海上の軽石の分布を人工衛星観測画像によって把握し、関係機関に情報提供しています。今回は、その分析に利用している主な光学(可視、赤外線)衛星画像、合成開口レーダ(SAR)画像についてご紹介します。
本件お問い合わせは、earth*ml.jaxa.jp (*はアットマークに置き換えてください)にお願いいたします。
ご参考:福徳岡ノ場噴火(新島形成、軽石等)は10月7日の地球が見えるの記事に掲載しています。
また、軽石に関する最新の「しきさい」(GCOM-C)画像については、特設サイトに掲載しています。
1.光学(可視)衛星画像による軽石観測
JAXAの気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)の多波長光学放射計(SGLI)は1,150 kmの観測幅を有しており、広い海域の観測が可能です。図1.1~1.4に「しきさい」で捉えた軽石の分布を示します。
軽石は、海底火山の噴火により発生し、噴火直後の軽石は、主に一か所にまとまり、数10km程度の範囲に固まっていました(図1.1)、この様子は海上保安庁により航空機観測されています(参考:海上保安庁発表資料(図3 浮遊物の状況(2021年8月16日15:08撮影)))。しかし、1か月以上が経過し、細かく分割された様子が見られるようになりました(図1.2~1.4)(参考:海上保安庁発表資料(全般))。
なお、図1.1~1.4で白く見えるのは雲で、雲の下に水色の筋状に見えるものが軽石の分布と考えられます(図中の矢印部分)。これらの画像では、赤色~近赤外線~短波長赤外線の波長を組み合わせて可視化しているため、灰色の軽石の分布が水色に着色されています。可視画像から洋上の軽石の判別がしやすい一方、雲の下の観測はできず、天候の悪い日は軽石の観測ができません。そのため「しきさい」と同様に観測幅が広く、海の観測に適している(陸上と比べ比較的暗い海面を高感度に観測可能)、米国SuomiNPP衛星のVIIRS観測画像、欧州Sentinel-3衛星のOLCI観測画像もあわせて確認し、関係機関へ提供できるよう努めています。
2.合成開口レーダ(SAR)画像による軽石観測
陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)は合成開口レーダを搭載、自ら電波を発射し、その反射を観測することで、天候の影響を受けない観測が可能です。図2.1はALOS-2(10月25日撮像)の沖縄付近の観測画像(左)と、同日のGCOM-Cの可視赤外合成画像(右)を並べたものです。可視赤外画像との比較も含め、軽石が浮かんでいる海面と通常の海面とでレーダの反射が異なることによる軽石の判読を試みています。可視赤外画像で明るく帯状に見えている場所が、レーダでは暗く見えていることが分かります。レーダで海面を観測すると、波が穏やかなときには、海面からの反射が小さくなるため、波があるときよりも暗く(黒く)見えます。軽石が海面に浮かんでいる場所は、軽石がない海面よりも波が小さくなるため、周辺よりも暗く見えていると考えられます。