利用研究

2019.07.01(月)

世界中の雨の分布がリアルタイムでわかります!

2019年6月26日より、「JAXA世界の雨分布リアルタイム(GSMaP_NOW)」として公開中の降水データの領域を全球に拡張しました。これにより、世界中の雨の様子をリアルタイムにウェブ上で閲覧できるようになりました。

JAXAでは、複数の衛星の観測データを利用し、世界の雨分布情報(GSMaP)を提供しています。2015年11月から、即時性の高い日本の静止気象衛星「ひまわり」のデータを活用することで、ひまわり領域における実時間の降雨分布を提供するJAXA世界の雨分布リアルタイム(GSMaP_NOW)を開発し公開しています。即時性の高い雨分布の画像やデータは、アジア太平洋地域での降水の現況把握に広く活用されています。2018年11月からは、ひまわり観測領域に加えて、欧州の静止気象衛星「Meteosat」観測領域まで対象領域を拡張しました。

この度、アメリカの静止気象衛星「GOES」データを追加することで、JAXA世界の雨分布リアルタイム(GSMaP_NOW)のデータ領域を全球に拡張しました。これにより、発達中の熱帯低気圧や台風・サイクロンなどの世界中の雨の様子をリアルタイムにウェブ上で閲覧できるようになりました。

JAXA世界の雨分布リアルタイムを用いると、海上や地上観測網が十分でない地域も含めて、ほぼ実時間の雨情報を30分毎の更新間隔で利用することができます。この速報性により、アジア太平洋地域においては、降水監視や洪水予測等での利用が促進されてきました。領域を全球に拡張することで、アジア太平洋地域に限らず、全球での降水監視や洪水予測等での利用が加速することが期待されます。

国内の利用事例として、JAXA世界の雨分布リアルタイムのデータは、日本気象協会天気予報専門メディア「tenki.jp(てんきじぇーぴー)」にて、「tenki.jp×JAXA 世界の雨雲の動き」として利用されています。こちらは、地上レーダーでは捕捉できない海上や東アジア、南・東南アジア、オセアニア、ハワイ付近などの降水量分布を、GSMaP_NOWを用いて予報し、3時間先までの情報を公開しているものです。

これまでは、静止気象衛星「ひまわり」の領域範囲外であるハワイの東側の太平洋上のデータが表示できませんでしたが、今回の全球化により、太平洋全域のデータが利用可能となることで、ハワイの東側から移動してくる降水域も閲覧することができるようになります。

tenki.jp×JAXA ハワイの雨雲の動きにおける領域拡張前後の変化

図2. tenki.jp×JAXA ハワイの雨雲の動きにおける領域拡張前後の変化。

さらに海外での利用事例として、JAXA世界の雨分布リアルタイムのデータは、周囲が海に囲まれているために、地上観測が非常に限られている太平洋の島嶼国で、降水監視の手段として利用が拡がっています。これまでは、ひまわり領域外の太平洋地域については、リアルタイム化ができていなかったため、これらの地域(例:フレンチポリネシア)の気象機関から、領域拡張のリクエストがきていましたが、今回の全球化により、太平洋の島嶼国へのニーズにも対応できました。

「JAXA世界の雨分布リアルタイム」ウェブサイトの使い方はこちらからご覧ください。

2000年3月から現在までの過去を含めた世界の雨分布をご覧になる場合は、「JAXA世界の雨分布速報」ウェブサイトをご覧ください。GSMaP登録ユーザは、2019年5月末時点で、約4900名、121ヶ国と利用が世界中に広がっています。

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