気象・環境

2026.02.19(木)

いぶきGW/AMSR3が捉えたオホーツク海の流氷

2026年1月、北海道オホーツク海沿岸に今冬の流氷が接岸し始めた様子を、2025年に打ち上げられた温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」(GOSAT-GW)に搭載され、現在校正検証期間中の高性能マイクロ波放射計AMSR3が宇宙から明瞭に捉えました。

海上保安庁第一管区海上保安本部の発表によれば、網走では2026年1月26日に流氷初日(視界内の海面に初めて流氷が見えた日)が観測され、AMSR3が観測した1/27には沿岸の広い範囲で海氷が確認でき(図1)、オホーツク海沿岸が本格的な海氷期へと移行したことが確認されています。

図1 AMSR3が捉えた1/27のオホーツク海氷の様子

オホーツク海は、北をシベリア、南を北海道、東をカムチャツカ半島と千島列島に囲まれた海で、冬季にはシベリアからの寒気により広範囲に海氷が形成されます。シベリア側で生成された海氷は、卓越する北西季節風や海流により南下し、毎年1月下旬から2月にかけて北海道オホーツク沿岸へと接岸します。日本で海氷が定常的に接岸するのは、このオホーツク海沿岸のみであり、オホーツク海の生態系や気候変動のシグナルの観点から重要な役割を果たしています。

図2 AMSR3が捉えた2026年1月21〜30日のオホーツク海氷の様子

AMSR3は、2012年から運用中の「しずく」に搭載されているAMSR2の後継センサであり、海水と海氷のマイクロ波放射特性の違いを利用して、海氷密接度(海面に占める海氷の割合)を高精度に推定することができます。図2はAMSR3が捉えた2026年1月中旬から下旬にかけてのオホーツク海氷の様子です。オホーツク海南部で海氷域が拡大し、沿岸に向かって接近する様子が明瞭に捉えられています。

図3 海上保安庁が航空機から撮影した網走沖の海氷の様子(2026年01月21日12時25分撮影、海上保安庁第一管区海上保安本部海氷情報センターより提供)

図3は海上保安庁第一管区海上保安本部海氷情報センターが網走沖で航空機から撮影した1/21の海氷接近の様子です。同じ時期のAMSR3の画像でも海氷が接近してくる様子が確認でき、現地観測と衛星観測が整合的であることが示されています。2025年6月に打上げられたAMSR3は、同年夏以降、本格的な観測を開始しており、2026年6月末に予定されているデータ公開に向けて、現在その観測精度や信頼性を確認しているところです。これらの活動を通じて、これまでAMSR-E、AMSR2が担ってきた宇宙からの海氷監視をAMSR3が着実に受け継いでいきます。

海氷は海の表層を覆うことで大気・海洋間の熱交換を抑制し、春季の海洋構造や生態系に大きな影響を及ぼしています。近年、気候変動の影響により、流氷の接岸時期の変動や海氷域面積の年々変化が注目されています。AMSR3による準リアルタイムかつ継続的な観測は、こうした変化を定量的に捉え、将来の気候変動評価や防災・漁業・航行支援へとつなげる基盤となることが期待されています。JAXA/EORCでは、このような海氷をはじめとした地球環境の変化の兆候をいち早く捉えるため、「しきさい」や「しずく」のデータを活用したオホーツク海の海氷分布をwebサイトで公開しています。今後はAMSR3の画像も活用して、オホーツク海の環境変動を多角的に監視していく予定です。

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