利用研究

2016.11.14(月)

JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム(JJ-FAST)の公開について

独立行政法人国際協力機構(JICA)と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、JAXAの陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)を用いて熱帯林の伐採・変化の状況をモニタリングしています。この情報をインターネット経由でパソコンやスマートフォンから簡単にアクセスできる「JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム」(JICA-JAXA Forest Early Warning System in the Tropics; JJ-FAST)サービスを、11月13日(日本時間)から開始しました。

「JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム」(JJ-FAST)


JICAとJAXAは、2009年から2012年にかけてブラジルへの支援として、アマゾン地域で「だいち2号」の前号機である「だいち」の観測データを用いて、違法伐採のモニタリングを準リアルタイムで実施しました。「だいち」は雲を透過して森林をモニタリングすることができるため、雨季においても熱帯林を常時監視できます。ブラジルでは、「だいち」を用いた森林監視の結果、2,000件以上の違法伐採を検知し、森林の違法伐採の面積を40%減少させることに大きく貢献しました。

JICAとJAXAは、この取組みを通じて得られた知見をもとに、JAXAの「だいち2号」を用いて熱帯林の伐採・変化の状況をモニタリングすることに合意し、2015年にパリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(UNFCCC-COP21)のジャパン・パビリオンにおいて「森林ガバナンス改善イニシアティブ」として発表しました。(※1)

本イニシアティブの一環として、「JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム」(JJ-FAST)を構築いたしました。JJ-FASTは、世界の熱帯林の伐採・変化の状況を平均して1ヶ月半に1回の頻度で公開していく予定です。利用者は、インターネットにアクセスできる環境であればどこからもJJ-FASTを利用することができ、熱帯林の伐採・変化の状況を見ることができます。

11月12日のサービス開始時には、中南米地域の5ヵ国分のデータから公開し、段階的にアフリカ地域やアジア地域まで対象エリアを拡大していく予定です。最終的には熱帯林を有する世界約60ヶ国のデータの公開を目指しています。JJ-FASTでは現場からのフィードバックも踏まえて森林変化抽出の精度を高めていく予定です。

JJ-FASTを利用することで広大な森林を宇宙から監視することができるので、インフラが未整備、治安上の理由、もしくは人員や予算の不足といった課題から十分に森林を監視することができない開発途上国にとって森林モニタリングの有効な手段となり得ます。JICAとJAXAはJJ-FASTの普及を通じて開発途上国の持続的な森林管理を支援するとともに、長期的には森林減少を抑制することによる気候変動の緩和に繋げられるよう取り組んでいきます。

JICAとJAXAは、今後も宇宙航空技術を活用して開発途上国が直面する多様な開発課題及び地球規模課題の解決に貢献していきます。

本件に関する問い合わせ先:

(本データを用いた開発途上国への貢献について)

JICA 地球環境部 森林・自然環境グループ 自然環境第2チーム

三浦 真理/小此木 宏明  電話:03-5226-9534

(衛星・観測について)

JAXA 地球観測研究センター

計画マネージャ 金子 豊 電話:050-3362-2550

最新情報を受け取る

人工衛星が捉えた最新観測画像や、最新の研究開発成果など、
JAXA第一宇宙技術部門の最新情報はSNSでも発信しています。