利用研究

2016.03.03(木)

全球降水観測計画(GPM)標準プロダクト(バージョン4)のリリース開始について

JAXAおよび米国NASAは、全球降水観測計画(GPM)標準プロダクト(バージョン4)のリリースを開始しました。2016年3月3日以降から提供可能です。過去期間のデータについても並行して再処理を行っており、順次提供可能となる予定です。バージョン4プロダクトは地球観測衛星データ提供システムG-Portalから取得できます。

バージョン4から、大気中の熱エネルギーの3次元分布を与える潜熱加熱(SLH)プロダクトの提供を開始し、熱帯降雨観測衛星(TRMM)降雨レーダ(PR)からの継続したデータ提供が可能となりました。
図1はSLHのアルゴリズムのフローを示しています。図2は二周波降水レーダ(DPR)およびPR潜熱プロダクトの潜熱加熱率(Q1R)の比較(3ヶ月平均水平分布)ですが、両者で、熱帯・亜熱帯域の降雨に伴う潜熱加熱分布はよい一致を見せることがわかります。潜熱加熱プロファイルが正しく把握されることにより、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の気候変動予測に用いられている気候モデルの地球エネルギー収支の高精度な検証が可能となり、気候変動予測の精度向上につながり、世界的な課題である地球温暖化対策への貢献が期待されます。

DPRプロダクトもバージョン4で様々な改良が加えられています。DPRアルゴリズム及びフォーマットのバージョン3からの変更点、DPR V4プロダクトおよびSLH V4プロダクトの初期評価結果については、「DPRプロダクト(バージョン4)関連資料」の項をご覧ください。

なお、全球合成降水マップ(GSMaP)バージョン4プロダクトは、2016年7月頃に提供予定です。

DPR潜熱(Spectral Latent Heating Algorithm; SLH)アルゴリズムの処理フロー

図1 DPR潜熱(Spectral Latent Heating Algorithm; SLH)アルゴリズムの処理フロー

DPRおよびPR潜熱プロダクトの潜熱加熱率(Q1R)の比較(3ヶ月平均水平分布)

図2 DPRおよびPR潜熱プロダクトの潜熱加熱率(Q1R)の比較(3ヶ月平均水平分布)

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