宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成26年10月7日(世界標準時)を以って、熱帯降雨観測(TRMM)衛星搭載降雨レーダ(PR)観測の後期運用を終了いたしましたので、お知らせいたします。今後は、本年2月28日に打ち上げた全球降水観測(GPM)計画主衛星搭載二周波降水レーダ(DPR)により衛星搭載降水レーダの観測を継続します。
TRMMは、平成9年11月28日に種子島宇宙センターからH-IIロケット6号機により打ち上げ、平成13年1月31日で定常運用段階を完了し、後期運用段階へ移行しました。平成13年8月に軌道高度を350kmから402.5kmに変更し、現在、設計寿命3年2ヶ月を大きく上回る17年目の運用に入っていました。
しかし、平成26年7月8日に実施した軌道高度維持の際、燃料タンク圧力の急激な減少が確認され、米航空宇宙局(NASA)より軌道維持のための推進燃料の枯渇が示唆されました。これを以って、衛星開発・運用担当のNASAとセンサ機器開発・運用担当のJAXAは、今後402.5kmの軌道高度の維持を行わないことを決定し、10月5日に軌道高度がPRの観測高度範囲の下限である392.5kmに達したため、10月7日にPRの後期運用を終了しました。
PRの観測機器そのものに異常はないため、今後約半年間、軌道降下中にPRの試験運用を実施することにいたしました。なお、平成13年以前の定常運用時の軌道高度であった350km付近で再び得られる観測データについては、データ品質に問題がないことを確認した後、公開する予定です。また、NASAのセンサであるTRMMマイクロ波放射計(TMI)は、通常の観測が可能であるため、軌道降下中も後期運用が継続されます。
これまでTRMM/PRの運用にあたり、ご協力をいただいた関係各機関及び各位に深く感謝いたしますとともに、今後のGPM/DPR運用においても一層のご協力を賜りますようお願い申し上げます。