気象・環境
2012.07.25(水)
「しずく」が捉えたグリーンランド氷床表面の全面融解
7月初旬から観測を開始した「しずく」が、2012年7月12日にグリーンランド氷床表面のほぼ全域の輝度温度の上昇を捉えました。高い輝度温度は氷床表面が湿っている状態(融解領域)と考えられ、通常は夏季においても表面が凍結状態にあるグリーンランド氷床の内陸部まで、融解領域が広がった可能性が高いと考えられます。
図1は、7月10日から7月15日のグリーンランド氷床表面の18GHzと36GHz垂直偏波の輝度温度画像を用いた合成画像です。灰色は融解領域を示しており、緑から黒色が乾いた表面状態(非融解領域)を示しています。
10日は、北東部の大部分が非融解領域でしたが、11日には東部に若干残る程度になり、ついに12日には、ほぼ全域が融解領域となりました。その後、14日以降には、再び非融解領域が広がっていったことが分かります。JAXAは2002年から2011年まで、しずくの先代である改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)を運用してきましたが、少なくともAMSR-Eのデータでは見られなかった現象です。今後も、さらに過去の衛星データ、現地観測データと比較し詳細に解析していく計画です。
現在「しずく」は初期機能確認(打上げ後3カ月間)中です。その後、データの精度確認やデータ補正等を行う、初期校正検証を実施する予定です。
観測画像について
観測衛星: | 第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1) |
観測センサ: | 高性能マイクロ波放射計2(AMSR2) |
観測日時: | 2012年7月10日〜7月15日 |