10月3日~14日に世界銀行情報センターにて開催されたJST-JICAプログラム「SATREPS(サトレップス)」(*1)の第1回写真展に、「だいち」のデータを用いて作成したヒマラヤ地方の3D模型を展示しました。
ブータンやネパールといったヒマラヤ地方では、氷河から融け出した水分によって湖(氷河湖)を形成していますが、近年この拡大が急速に進んでいると言われます。氷河湖は自然の岩や瓦礫からなる堤状の地形(モレーン)によって堰き止められているため、いつ決壊するか分からない状況で、下流で生活する人々の安全を脅かしています。しかし、どのくらいの大きさの氷河湖が、どのように分布しているのか正確に把握されていないのが現状です。
JAXAではブータン王国経済省地質鉱山局と国内15機関(*2)との協力の下、氷河湖の現状を把握し、氷河湖決壊洪水の危険度を客観的に評価するために、JST-JICAプログラム「SATREPS」において「ブータンヒマラヤにおける氷河湖決壊洪水に関する研究」(研究代表:名古屋大学)を実施しています。
JAXAでは、この研究の成果である、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の観測データを用いて整備を進めている、ブータン王国における最新の氷河湖の情報(緯度経度, 面積, 長さ, 幅, 標高等)を高精度に調査した「氷河湖台帳(インベントリ)」を公開しています。
また、今回展示した3D模型は筑波宇宙センター展示館(スペースドーム)でご覧になることができます。
第1回SATREPS写真展について(JSTホームページ)
http://www.jst.go.jp/report/2011/111026.html
ブータン氷河湖インベントリ(データセット)公開のページ:
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/bhutan_gli/index_j.htm
*1 (独)科学技術振興機構(JST)と(独)国際協力機構(JICA)による「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」
*2 名古屋大学、立教大学、北海道大学、(独)防災科学技術研究所、広島工業大学、(独)海洋研究開発機構、(財)リモート・センシング技術センター、新潟大学、総合地球環境学研究所、(株)地球システム科学、弘前大学、日本大学、帝京平成大学、群馬大学、慶應義塾大学