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2010.12.21(火)

天下の険、箱根

箱根とその周辺
箱根とその周辺

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図1 箱根とその周辺

図1は、ALOS(だいち)が2010年2月に撮影した箱根とその周辺の画像です。箱根の火山は約40〜50万年ほど前に活動を開始し、20万年ほど前に中央部が陥没、巨大な円形の凹地(カルデラ)ができました。箱根のカルデラは直径が約10kmあり、陥没から取り残された周囲の山並み(外輪山)が画像からも見て取れます。

箱根は、奈良時代(710-792)に開かれた古い温泉地で、安藤広重などが描いた浮世絵により広く知られるようになりました。明治(1868-1911)になると国際的な観光地として歩み始めます。これは、箱根をしばしば訪れていた福沢諭吉が、道路と鉄道の整備を提案したことによります。明治11年(1878)に日本初のリゾートホテルが誕生しています。

山頂部の拡大画像
山頂部の拡大画像

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図2 箱根の山頂部

(Google Earthで見る箱根の山頂部(kmz形式、4.85MB低解像度版))

図2は箱根の山頂部の拡大画像です。画像いっぱいに丸く広がる山並みから、山頂部が大きなカルデラ地形になっていることが見て取れます。中央の部分に残っている火口丘*、凹みに形成されたカルデラ湖**等はカルデラ内の特徴的な地形です。この様な自然の景観に加え、古くからの温泉地であり、観光施設やゴルフ場が多く建設されています。画像は2月に撮影されているため、平らな部分は雪が残って白く見えています。画像の左上に見える白い部分の多くは雪で覆われたゴルフコースです。

* 火口やカルデラの内側にできる小火山体(神山や駒ケ岳等)

**カルデラ全体または一部に雨水が貯まり湖になったもの(芦ノ湖)

箱根町の拡大画像
箱根町の拡大画像

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図3 箱根町の拡大画像

天下の険

箱根は、富士山東南の方向に相模湾との間に位置し、東海道の難所として知られていました。”箱根の山は天下の険”と、「箱根八里」(滝廉太郎作曲の歌曲)で歌われています。近代においても、東海道本線は箱根の南側を、東名高速道路は箱根の北側を回り込んで通っています。江戸時代の箱根の関所は、”出女、入り鉄砲”と称されるような厳しい監視*が行われていました。芦ノ湖の南、箱根町に関所跡があります。

また芦ノ湖は正月に行われる箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)の往路の終着点です。最終区間の山登りでは、箱根を舞台にいろいろなドラマが生まれました。

* 特に、江戸に鉄砲を持ち込まなせない、そして人質となっている大名の妻たちが江戸から逃げ出さないよう監視が行われ、江戸幕府への反抗を取り締まっていました。

大湧谷周辺の拡大画像
大湧谷周辺の拡大画像

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図4 大湧谷周辺の拡大画像

大湧谷

図4は、火山丘の北側にある大涌谷周辺の拡大画像です。中央のくぼんで見える部分が大涌谷で、神山の北斜面で起きた大規模な爆発により山の一部が崩壊してできました。今も水蒸気と硫化水素の混じったガスが噴き出しています。東側の早雲山(そううんざん)駅と西側の桃源台(とうげんだい)駅を結ぶロープウェイがかかり、途中の大涌谷駅で乗り換えになっています。大涌谷駅で下車すると、噴煙を間近に見ることができます。


観測画像について

観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)及び
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2010年2月8日10時38分頃(日本時間)(AVNIR-2、PRISM同時観測)
地上分解能: 10 m(AVNIR-2)および2.5 m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)

AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610〜690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

濃緑: 森林
明るい緑: 草地
青灰色: 市街地
青: 水域
白: 建物、雲、雪

(図2〜4)

PRISMは地表を520〜770ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。

AVNIR-2の、バンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。図2〜4はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。

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