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2010.02.03(水)

ブラジル一の観光都市、リオ・デ・ジャネイロ

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図1 リオ・デ・ジャネイロとその周辺

盛大なカーニバルで知られるブラジルの大都市、リオ・デ・ジャネイロは、2016年のオリンピック大会の開催が決まったことで注目されています。日本からは地球のほぼ真裏にあるため、名前はよく知っていても、その存在は遠くに感じられるかもしれません。

図1はALOS(だいち)が2009年10月に撮影したリオ・デ・ジャネイロとその周辺画像です。画像から、リオ・デ・ジャネイロが、入り口が狭く、奥に入り込んだ湾の西側に面しているのがわかります。この湾は、グアナバラ湾といい、天然の良港になっています。1693年、北西の内陸部にあるミナス・ジェライス州で金鉱が発見されると、リオ・デ・ジャネイロは金の積み出し港として繁栄しました。

リオ・デ・ジャネイロとは、ポルトガル語で「1月の川」という意味です。1502年、ポルトガルの探検家ガスパール・デ・レモスがこの地を訪れた時、グアナバラ湾が大きな川に見えたと言われています。それが1月のことだったことから、リオ・デ・ジャネイロと呼ばれるようになったのだそうです。

グアナバラ湾内西側には、大きな島があります。この島はコヴェルナドール島といい、島の西端に、リオ・デ・ジャネイロ国際空港があります。湾の入り口を真っ直ぐに横切る線は、リオ・デ・ジャネイロと対岸のニテロイ市を結ぶリオ・ニテロイ大橋で、その長さは14kmもあります。

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図2 コパカバーナ海岸周辺の拡大画像

(Google Earthで見るコパカバーナ(kmz形式、3.59MB、低解像度版))

リオ・デ・ジャネイロは、南米屈指の観光都市で、よく知られた観光地が数多くあります。中でも有名なのが、リゾート地のコパカバーナ海岸です。図2で、東側の弓なりの砂浜がコパカバーナ海岸で、およそ4kmにわたって白砂の海岸が続いています。ビーチ沿いには高層ホテルやレストランなどが並んでいます。また、コパカバーナ海岸の西に隣接するイパネマ海岸も約4kmにおよぶ美しい海岸です。

コパカバーナの北西には、両手を広げたキリスト像が山頂に立つコルコバードの丘が見えています。

コルコバードの丘

コルコバードの丘は、標高710メートル。頂上には、両手を広げたキリスト像が立っています。キリスト像は、ブラジル独立100周年を記念して1924年から建造が始まり、1931年に完成しました。高さ30m、両手のさしわたしは28 m、台座だけでも8mという巨大なものです。リオ・デ・ジャネイロの町の至るところから巨大な十字架のように見え、市民のシンボルとなっています。リオ・デ・ジャネイロで最もよく知られた観光地でもあり、大勢の観光客でにぎわっています。ふもとからは、登山電車で行くことができ、頂上の展望台からは、360°にわたってリオ・デ・ジャネイロの風景を見下ろせます。

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図3 リオ・デ・ジャネイロの拡大画像

(Google Earthで見るリオ・デ・ジャネイロ(kmz形式、3.73MB、低解像度版))

ブラジル一の観光地であるリオ・デ・ジャネイロは、1960年にブラジリアに首都が移るまでの200年近くにわたってブラジルの首都でした。そのため、近代的な高層ビル群の中に、伝統的な建築を見ることができます。

市の中心部のラッパ広場に面しているカリオカ水道橋は、カリオカ川から市内への水の供給のため、1750年に建設されました。高さ18 m、全長270mあり、二重アーチからなる美しい姿をしています。現在は、水道橋としては使われず、橋の上部を路面電車が通っています。

画像の右端、グアナバラ湾に突き出した所には、国内線の発着空港である、サントス・デュモン空港があります。画像の左端、白いリング状に見えているのがエスタジオ・ド・マラカナンです。数々のサッカーの名勝負の場になってきました。

世界最大のサッカースタジアム、エスタジオ・ド・マラカナン

サッカーファンには、エスタジオ・ド・マラカナンの名前はなじみ深いことでしょう。1950年開催のサッカーワールドカップ・ブラジル大会決勝リーグ(この大会のみ決勝がリーグ戦)が行われた世界最大のサッカースタジアムです。地元ブラジルは、最終戦でウルグアイに敗れて優勝を逃し、マラカナンの悲劇と呼ばれることになりました。かつては、20万人の観客を収容できましたが、1992年のスタンド落下事故をきっかけに改修され、現在の収容人数は10万人弱です。それでも大きなスタジアムであることに変わりはなく、衛星画像もスタジアムの姿をはっきりとらえています。エスタジオ・ド・マラカナンでは、2014年に開催予定のFIFAワールドカップの決勝戦、そして、2016年オリンピックの開会式を行うことが予定されています。


観測画像について

(図1〜図2)

観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)及び
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2009年10月12日13時10分頃(世界標準時)(AVNIR-2、PRISM同時観測)
地上分解能: 10 m(AVNIR-2)および2.5 m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)

AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

濃緑: 森林
明るい緑: 農地、草地
明るい青灰色: 市街地
白: 道路、建物、雲

PRISMは地表を520〜770ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。

AVNIR-2の、バンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。図2、3はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。

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