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国際災害チャータ

JAXAは、国内の自然災害にとどまらず、海外での自然災害時にも、衛星の緊急観測を実施し、衛星データ及び被害域の抽出結果を無償で提供しています。JAXAは、国際的な防災枠組みとして、「国際災害チャータ」と「センチネルアジア」に加盟しています。ここでは、「国際災害チャータ」での活動についてご紹介します。

センチネルアジアの紹介についてはこちら

目的と加盟機関

国際災害チャータは、災害発生時に地球観測衛星の画像を国際的に提供し合う国際的な防災枠組みです。大規模災害発生時に、地球観測衛星データの提供等を通じて、災害の把握、復興および事後処理等に貢献することを目的としています。2000年にカナダとヨーロッパの宇宙機関から発足し、JAXAは2005年に加盟しました。現在加盟している機関は17機関で、緊急観測データを提供できる衛星数は60機以上にもなります(図1、表1:2021年4月現在)

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図1:国際災害チャータ加盟国機関

表1:国際災害チャータ加盟機関

加盟機関(計17機関) 主な衛星
ボリバル宇宙活動庁:ベネズエラ(ABAE) VRSS-1
VRSS-2
フランス国立宇宙センター(CNES) Pleiades-1A/1B
SPOT-6/7
中国国家航天局(CNSA) GF-1
GF-2
GF-3
GF-4
アルゼンチン国家宇宙活動機関(CONAE) SAOCOM-1A/1B
カナダ宇宙庁(CSA) RADARSAT-2
RCM 1, 2, 3
ドイツ航空宇宙センター(DLR) TerraSAR-X,TanDEM-X
欧州宇宙機関(ESA) Sentinel-1A/1B
Sentinel-2A/2B
欧州気象衛星機構(EUMETSAT) Metop-A/B/C
Meteosat SecondGenerationシリーズ
ブラジル宇宙研究所(INPE) CBERS-4(中国との共同開発)
CBERS-4A(同上)
インド宇宙研究機関(ISRO) Cartosat-2/2A/2B
Resourcesat-2/2A
宇宙航空研究開発機構(JAXA) ALOS-2
HDTV-EF2(ISS日本実験棟きぼう)
韓国航空宇宙研究院(KARI) KOMPSAT-2
KOMPSAT-3
KOMPSAT-3A
KOMPSAT-5
アメリカ海洋大気庁(NOAA) NOAA-18/19, Metop-A/B/C
NOAA-20, Suomi NPP
GOES-16/17
ロシア国営ロスコスモス社(ROSCOSMOS) Kanopus-V 3, 4, 5, 6
Kanopus-V-IK
Meteor-M 1, 2, 2.2
Resurs-P 1, 3
アラブ首長国連邦宇宙庁(UAESA)/ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC) DubaiSat-2
KhalifaSat
英国宇宙庁(UKSA)/DMCインターナショナル・イメージング社(DMCii) ALSAT-1B
UK-DMC-2
Vision-1
米国地質調査所(USGS) Landsat7/8
WorldView-1/2/3
GeoEye-1

表2:民間データ提供者

民間データ提供者 主な衛星
米国Planet Labs社 PlanetScope衛星群
フィンランドICEYE社 ICEYE-X2, X3, X4, X5, X6, X7

国際災害チャータの特徴

国際災害チャータには、世界中の宇宙機関が参加しています。そのため、自国の人工衛星では良いタイミングで観測できない場合や、被害の全容が見えないほど広範囲な災害の場合であっても、国際災害チャータに加盟する世界中の宇宙機関の協力があれば、情報を補うことができます。

また、宇宙機関だけでなく、民間データ提供者も協力し、衛星画像の無償提供を行っている点も特徴です。2018年より、小型光学観測衛星群を運用する米国Planet Labs社が民間データ提供者となり、2020年には小型レーダ観測衛星群を運用するフィンランドICEYE社が参加しています。

これまでの成果の例

平成30年7月豪雨では、2018年6月28日以降、西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨となり、各地で甚大な被害が発生しました。 被害を受けられた方々に対し、謹んでお見舞い申し上げます。

この災害では、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)による緊急観測だけでなく、「国際災害チャータ」や「センチネルアジア」に支援を要請しました。国際災害チャータからは、DLR、CNES、USGS、ROSCOSMOS、KARI、ESA、UKSA/DMCii、CNSA、MBRSC(略称は表1参照)から、またセンチネルアジアの複数機関から、衛星画像が提供されました。

図2は、フランス国立宇宙研究センター(CNES)から提供されたPleiades-1A画像と、JAXAの「だいち2号」画像を元に、山口大学応用衛星リモートセンシング研究センターにより作成された、岡山県倉敷市周辺の浸水推定地図です。その他,衛星画像より得られた多くの情報が提供され,内閣府等の防災関係機関に提供されました。

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図2:平成30年7月西日本豪雨で山口大学より提供された浸水域マップ

その他の国際災害チャータにおけるJAXAの対応事例

2015年4月 「だいち2号」によるネパール地震の観測結果について
2015年7月 「だいち2号」によるミャンマー洪水被害の観測結果について
2017年9月 「だいち2号」によるカリブ海沿岸ハリケーン被害の観測結果について
2018年6月 「だいち2号」によるグアテマラ・フエゴ山噴火の観測結果について
2020年8月 モーリシャス沿岸における油流出事故をうけた「だいち2号」の観測協力

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