衛星利用分野
JAXA衛星利用運用センター(SAOC: Satellite Applications and Operations Center)では、地球観測衛星によって得られたデータの利用促進と、地球観測衛星の衛星管制・データ処理・保存・提供のための地上システムの開発・運用・維持管理などを行っています。
行政や民間における衛星データを用いた課題解決への取り組みを支援したり、防災機関や国際機関との連携を進めたりすることで、データの利用促進を進め、衛星データの利用を通じた社会課題解決へ貢献しています。
災害対策
陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)をはじめとした人工衛星は、広い範囲を定期的に観測することができます。JAXA衛星利用運用センター(SAOC)では、自然災害による影響を最小限に抑え、安心して生活できる社会を作るために、災害対策に関する活動を行っています。
地理空間情報
空間上の地点や区域を示す情報と、それに関連付けられる情報のことを、地理空間情報と呼びます。広範囲を観測できる地球観測衛星データを活用することで、効率的な情報収集が可能となります。地理空間情報は、災害時の状況把握や地図等のビジネスでの利用をはじめ、様々な活用が広がっています。
農林水産業
農林水産業は、生命を支える「食」と、安心して暮らせる「環境」に直結する重要な分野です。衛星データを使うと、土地の状況を、航空機やドローンより広範囲で把握することが可能です。農作物のでき具合等も把握できるため、農林水産業への利用が広がっています。
土木・インフラ
地球観測衛星に搭載された合成開口レーダ(SAR)センサを活用することで、一度に広域を観測し、都市の地盤沈下やインフラ施設の監視を行うことができます。土木・インフラの老朽化と維持・更新のコスト増大、現場の人員不足・熟練作業者不足等の社会課題解決にも役立てられています。
海洋状況把握(MDA)
海洋からのさまざまな人為的または自然の脅威に対応するための情報共有基盤・枠組みとして、海洋状況把握(MDA:Maritime Domain Awareness)が重視されてきています。JAXAではさまざまな人工衛星により、船舶や海洋に関するデータを収集し、その情報を束ねる形で政府機関に提供することにより、MDAに貢献しています。
国際的な取組み
地球規模の課題解決は、JAXAだけではなく世界の宇宙機関と協力することにより実現の可能性が高まります。JAXAでは各国の宇宙機関と連携し、お互いの強みを生かした地球観測衛星の共同開発やデータの精度検証や品質向上、データを利用したアプリケーションの検討などの協力を行っています。また、SDGsやパリ協定、仙台防災枠組みなどに貢献するために、地球観測に関する様々な国際的な枠組みにも参画しています。