「いぶき2号」によるCO2濃度増加量の全球分布の変化

記事公開日: 2020/6/25
概要

「いぶき2号」によるCO2濃度増加量を全球分布として抽出。2020年は2019年よりもCO2濃度増加量の減少がみられる地域があった。同時観測したCH4濃度増加量、CO濃度観測値も示す。

観測結果

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による経済活動の大きな変化が、世界各国で報告されている。人間活動の変化に伴うCO2大気環境への影響は宇宙から見ることができる。そこで、GOSAT-2対流圏2層CO2濃度データを使って、CO2収支指標となる月平均のCO2濃度増加量を2019年と2020年の2月、3月で算出した。これらのデータは、空間には緯度経度に2度平均、時間には月平均をしている。月毎に、昨年から変化があった地域を見ることができる。

CO2濃度増加量の全球図では、緑色がCO2排出がほぼ無い場所、赤色や黄色はCO2排出がありそうな場所を示していると考えられる。2019年の2月と3月ではCO2濃度増加量の分布は同じように見えるが、北半球の冬季2月のほうが初春3月よりも大きいように見える。次に、2019年に比べて、2020年の2月は中国やヨーロッパ地域でCO2濃度増加量の減少が見られる。3月はそれに加えてアメリカでも減少が見られる。

CH4濃度増加量はCO2とは異なる全球分布を持つ。これはCO2とCH4では異なる地域排出源タイプであることに起因する。2019年に比べて、2020年2月はアジア地域でのCH4濃度増加量の減少が見られる。3月はそれに加えてヨーロッパやアメリカ地域でも減少が見られる。

COはCO2に関連して、化石燃料や森林・バイオマスの低温燃焼により発生する。2019年に比べて、2020年はバイオマス燃焼による高濃度のCOがアフリカ中央部、中国南部で発生している一方、中国北部の2月は減少したように見える。精度を高めた解釈には他のデータも含めた更なる解析が今後必要となる。

観測結果(CO2

Analyzed by JAXA/EORC


図1-1:GOSAT-2による2019年2月3月の下層対流圏CO2濃度増加量の全球分布

Analyzed by JAXA/EORC


図1-2:GOSAT-2による2020年2月3月の下層対流圏CO2濃度増加量の全球分布
図1-1と図1-2を比較する
観測結果(CH4

Analyzed by JAXA/EORC


図2-1:GOSAT-2による2019年2月3月の下層対流圏CH4濃度増加量の全球分布

Analyzed by JAXA/EORC


図2-2:GOSAT-2による2020年2月3月の下層対流圏CH4濃度増加量の全球分布
図2-1と図2-2を比較する
観測結果(CO)

Analyzed by JAXA/EORC


図3-1:GOSAT-2による2019年2月3月の全体カラム平均CO濃度の全球分布

Analyzed by JAXA/EORC


図3-2:GOSAT-2による2020年2月3月の全体カラム平均CO濃度の全球分布
図3-1と図3-2を比較する
GOSAT-2による観測について

GOSAT-2は太陽光波長と熱赤外波長を同時に分光観測できる唯一の衛星利点を生かして、対流圏上層(4-12 km)と対流圏下層(0-4 km)の対流圏2層CO2濃度データを提供している。上層の格子平均CO2濃度は、表層からの影響が少なく広範囲を代表する背景場となり、一方、下層CO2濃度は、都市からの排出影響を受けて上昇すると考えられる。下層CO2濃度データから月平均の上層CO2濃度データを引き算することで、季節変化するCO2濃度背景場を大胆に取り除き、都市表層のCO2増加量だけを見ることができる。

GOSAT-2対流圏2層CO2濃度データは、GOSATと共に全球観測と、世界50以上の大都市の集中観測を提供していく。JAXA GOSAT-2とGOSATは、NASA OCO-2衛星、ESA TROPOMIセンサと協力して新型コロナウイルス感染症の流行による温室効果ガスと大気質の変化の追跡に挑戦していく。

※GOSATおよびGOSAT-2はJAXA、国立環境研究所、環境省の共同プロジェクトです。

関連リンク

GOSAT/GOSAT-2 EORC Daily Partial Column GHGs

GHGs Trend Viewer - Partial Column

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