「いぶき」によるCO2濃度増加量を全球分布として抽出。2020年は2019年よりもCO2濃度増加量の減少がみられたが、2021年には増加傾向が見られた。同時観測したCH4濃度増加量も示す。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による経済活動の大きな変化が、世界各国で報告されている。人間活動の変化に伴うCO2大気環境への影響は宇宙から見ることができる。そこで、GOSAT対流圏2層CO2濃度データを使って、CO2収支指標となる月平均のCO2濃度増加量を2019年、2020年、2021年の2月、3月で算出した。これらのデータは、空間には緯度経度に2.5度平均、時間には月平均をしている。月毎に、コロナ禍前後に変化があった地域を見ることができる。
CO2濃度増加量の全球図では、緑色がCO2排出のほぼ無い場所、赤色や黄色はCO2排出がありそうな場所を示していると考えられる。2019年に比べて、2020年の2~3月は中国やヨーロッパ地域でCO2濃度増加量の減少が見られた。2021年にはやや増加傾向にあり、2020年よりは人間活動が回復してきた影響が見えると推察できる。
CH4濃度増加量はCO2とは異なる全球分布を持つ。これはCO2とCH4では異なる地域排出源タイプであることに起因する。2019年に比べて、2020年はアジア地域でのCH4濃度増加量の減少が見られる。2021年には中国などでやや増加傾向にある。
Analyzed by JAXA/EORC
Analyzed by JAXA/EORC
Analyzed by JAXA/EORC
Analyzed by JAXA/EORC
Analyzed by JAXA/EORC
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GOSATは太陽光波長と熱赤外波長を同時に分光観測できる唯一の衛星利点を生かして、対流圏上層(4-12 km)と対流圏下層(0-4 km)の対流圏2層CO2濃度データを提供している。上層の格子平均CO2濃度は、表層からの影響が少なく広範囲を代表する背景場となり、一方、下層CO2濃度は、都市からの排出影響を受けて上昇すると考えられる。下層CO2濃度データから月平均の上層CO2濃度データを引き算することで、季節変化するCO2濃度背景場を大胆に取り除き、都市表層のCO2増加量だけを見ることができる。
GOSAT対流圏2層CO2濃度データは、GOSAT-2と共に全球観測と、世界50以上の大都市の集中観測を提供していく。JAXA GOSATとGOSAT-2は、NASA OCO-2衛星、ESA TROPOMIセンサと協力して温室効果ガスと大気質の変化の追跡に挑戦している。
※GOSATおよびGOSAT-2はJAXA、国立環境研究所、環境省の共同プロジェクトです。