2026.6.26活動報告
~日米・官民連携で挑む次世代の大気降水地球観測シンポジウム イベントレポート~
2026年6月5日(金)、X-NIHONBASHIにてJAXA主催により「日米・官民連携で挑む次世代の大気・降水地球観測シンポジウム」が開催されました(主催:JAXA、協力:CONSEO、後援:内閣府宇宙開発戦略推進事務局及び文部科学省)。本シンポジウムでは、日米が長年協力して進めてきた降水観測ミッションの成果を振り返るとともに、次世代降水観測ミッション「PMM(Precipitation Measurement Mission)」やNASAの大気観測ミッション「FALCON(Fleet for the Atmosphere Linking Commercial Observations with NASA)」を中心に、将来の地球観測の方向性や官民連携の可能性について議論が行われました。
来賓・登壇者による集合写真。左から出本哲氏(株式会社Aqunia)、仁尾友美氏(JAXA)、山川宏氏(JAXA)、Karen St. Germain氏(NASA)、Nicola Fox氏(NASA)、髙橋暢宏氏(名古屋大学)、古田裕志氏(文部科学省)、樋口晋一氏(内閣府宇宙開発戦略推進事務局)。
来賓ご挨拶
冒頭、内閣府宇宙開発戦略推進事務局の樋口晋一参事官および文部科学省の古田裕志審議官によりご挨拶をいただきました。地球観測は、気候変動、災害対応、及び食料安全保障等の課題解決において、水循環サイクルや大気のダイナミクス等に係る科学的理解を深め、科学的根拠に基づく効果的な対応策を検討するために必要不可欠であること、また、PMMにより降水観測が「どれだけ降るか」を測る段階から、「なぜ降るのかを理解し、未来を予測する」段階へと進化していくことへの期待が示されました。
基調講演 ~NASA地球科学プログラムと日米連携~
NASA科学ミッション局長のNicola Fox氏より、NASAの地球観測戦略と日米協力の重要性について基調講演が行われました。Fox氏は、地球観測が気候変動や自然災害への対応をはじめ、私たちの暮らしを支える重要な役割を果たしていることを紹介しました。その中で、TRMMからGPMへと続くJAXAとNASAの長年の協力は、全球降水観測の発展を支える代表的な国際協力の成果であると述べられました。また、近年発生したスーパー台風の事例を取り上げながら、GPMの観測データが災害対応や人道支援活動に活用されていることを紹介し、地球観測が科学研究にとどまらず、人々の安全や社会のレジリエンス向上にも貢献していることを強調しました。さらに、NASAが進める次世代観測ミッション「FALCON」をはじめとする将来計画についても紹介され、雲や大気の観測を通じて、極端気象や気候変動への理解をさらに深めていく展望が示されました。
講演の最後には、地球観測分野に加え、Artemis計画をはじめとする月・火星探査においても日米協力が広がっていることに触れ、今後も両国が連携しながら科学技術の発展に取り組んでいくことへの期待が語られました。
基調講演の様子。
パネルディスカッション ~次世代の日米大気降水観測とビジネス展開の新地平~
続いて行われたパネルディスカッションでは、名古屋大学教授の髙橋暢宏氏をモデレーターに迎え、「次世代の日米大気降水観測とビジネス展開の新地平」をテーマに意見交換が行われました。パネリストには、NASA地球科学部長のKaren St. Germain氏、JAXA地球観測統括の仁尾友美氏に加え、電源開発株式会社(J-POWER)の賀達氏、株式会社Aquniaの出本哲氏が登壇しました。
議論では、気候変動の進行に伴い、豪雨や干ばつなど水循環に関する課題が深刻化する中、PMMやFALCONへの期待が語られました。特にPMMについては、降水量だけでなく降水粒子の鉛直運動が観測できるようになり、降水メカニズムの解明を通じて、気象予測の精度向上や水循環の理解がさらに進む可能性が紹介されました。
パネルディスカッションの様子。
また、民間企業の立場からは、水力発電事業における降水データの活用や、洪水予測・水資源管理への応用事例が紹介されました。衛星観測データはすでに様々な現場で活用されており、今後さらに社会課題の解決や新たなビジネス創出につながることへの期待が示されました。パネルディスカッション全体を通じて、地球観測の成果を社会に還元していくためには、日米協力に加え、官民が連携して取り組むことの重要性が改めて確認されました。
当日のプログラムや発表資料は、以下のお知らせよりご覧いただけます
【参加募集】日米・官民連携で挑む次世代の大気降水地球観測シンポジウム