2025.06.16活動報告
大阪・関西万博にて「TECHNOMART Malaysia-Japan」を開催しました!
2025年5月15日、大阪・関西万博のマレーシアパビリオンにおいて、JAXA、MALAYSIAN SPACE AGENCY (MYSA)、Malaysian Industry-Government Group for High Technology(MIGHT)、Malaysian Space Industry Consortium (MASIC)の連携によりTECHNOMART Malaysia-Japan(日マレーシア宇宙技術・経済共創ワークショップ)が開催されました。
本イベントは、マレーシア政府の科学技術イノベーション省(MOSTI)が「MOSTIウィーク」として開催した複数のイベントのひとつであり、MOSTIウィーク開会式の開催宣言においても、YBhg. Datuk Seri Hasnol Zam Zam bin Hj. Ahmad MOSTI事務局長から本イベントをご紹介いただくなど、マレーシア側からも期待が示されました。
開催目的は、①両国の宇宙コンソーシアム同士の関係構築(CONSEOとMASIC)、②両コミュニティに参加する民間企業間のネットワーキングです。マレーシアと日本の国境を越えた技術交流と産業発展を促進するため、航空宇宙・宇宙イノベーション分野における先進技術について、各ステークホルダーが交流し、見識を共有し、パートナーシップの可能性を探る機会となりました。


(1) 両国の民間/アカデミアのプレーヤーからの高い関心
イベントには、日本側17社/2大学、マレーシア側8社、両国合わせて33の組織の関係者が万博会場に集まり、多くのプレーヤーによって互いの関心が高いことが認識されました。なお、マレーシア側はMASICに加盟するほとんどの企業にご参加いただき、マレーシアの主要企業にも広くアクセスする貴重な機会となりました。
プログラムでは、各コンソーシアムの紹介に加え、両国企業のプレゼンテーション及びネットワーキングが行われました。マレーシアとの間で宇宙ビジネス関連するイベントが開催されるのは今回が初めてとなり、両国の官民関係者との間で積極的なネットワーキングや意見交換が行われました。
JAXAからは、調査国際部の菊地国際課長より冒頭の挨拶、COSEO事務局から杉田EORC参事によるCONSEOの紹介、また祖父江シニアアドバイザーによる水田メタンガス削減実証の紹介/マレーシアでの実証開始の呼びかけがありました。

参加組織一覧表
日本側 | マレーシア側 | |
---|---|---|
コンソーシアム:1
CONSEO
公的機関:1
JAXA
民間企業:17
アルケダ グリーンカーボン ネクストフォレスト サテライトデータサービス天地人 日本工営 スペースシフト (↗︎) |
(民間企業 つづき)
横河電機 ispace Space BD スペースワン デジタルブラスト 日新電機タイ インフォステラー ペースブルー IDDK 双日マレーシア
アカデミア:2
山口大学 九州工業大学 |
コンソーシアム:1
MASIC
公的機関:3
MOSTI/MYSA/MIGHT
民間企業:8
UZMA/Geospatial AI Tanahair Technologies Tenaga Alam Sekitar Kita Ever AI Technologies Angkasa-X Innovation FAAS Engineering Gading Group Sovereign Sengalang |
日本側 |
---|
コンソーシアム:1
CONSEO
公的機関:1
JAXA
民間企業:17
アルケダ グリーンカーボン ネクストフォレスト サテライトデータサービス天地人 日本工営 スペースシフト (↗︎) (民間企業 つづき) 横河電機 ispace Space BD スペースワン デジタルブラスト 日新電機タイ インフォステラー ペースブルー IDDK 双日マレーシア
アカデミア:2
山口大学 九州工業大学 |
マレーシア側 |
コンソーシアム:1
MASIC
公的機関:3
MOSTI/MYSA/MIGHT
民間企業:8
UZMA/Geospatial AI Tanahair Technologies Tenaga Alam Sekitar Kita Ever AI Technologies Angkasa-X Innovation FAAS Engineering Gading Group Sovereign Sengalang |
(2) マレーシア側から見た日本の魅力
今回は、CONSEOとMASICの両国宇宙コンソーシアムの関係構築を目的のひとつとしており、MASICの議長も参加し宇宙コミュニティ同士でも相互理解が深まりました。
その中で、両組織の違いも見えてきました。設立時期は共にここ数年と近いものの、MASICは加盟法人およそ10にとどまるのに対し、CONSEOは約300と、大きな差が見られます。しかしながら注目するのは加盟数の違いではなく、プレーヤーの層の違いです。MASICは衛星製造系や衛星データ利用系など直接的な宇宙プレーヤーのみの加盟であるのに対して、CONSEOは非宇宙分野の企業や地方自治体などが参加しています。
MASIC関係者は、日本のCONSEOのエコシステムを意識したコミュニティづくりにとても魅力を感じており、もっと日本から学びたいという良い印象を持ってもらうことができました。
両国の宇宙経済共創をブリッジしていく際、コンソーシアム同士の関係が機能し意義を持たせることに期待が持てそうです。

(3) 宇宙政策Malaysia Space Exploration 2030(MSE2030)
これからマレーシア側との連携を深めていく際に、認識しておきたいのが彼らの掲げる宇宙政策です。マレーシアは現在、コスト効率に優れ、イノベーションを原動力とし、国家戦略と整合した宇宙分野の構築に向けて、着実なその歩みを進めています。宇宙政策Malaysia Space Exploration 2030(MSE2030)に基づき、同国は宇宙分野の能力を、国際競争力、国家主権、そして国民の福祉に資する重要な柱として確立することを目指しています。
MSE2030が掲げるポイント(4つの主要な国家目標)を念頭に置き、マレーシアの基本的なニーズも認識したうえで、これからの連携を考慮し設計していくことが期待されます。

Malaysia Space Exploration 2030(MSE2030)のポイント |
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- 宇宙を通したイノベーションの推進:
衛星画像や測位システムの活用により生産性を向上させ、コスト削減やサービス提供の改善を図るとともに、農業、製造業、建設、環境管理、鉱業など多様な分野でのイノベーションを推進すること。
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- 宇宙関連のキャパシティ・ビルディング:
宇宙技術の強化、国内インフラの整備、人材の育成を通じて、次世代技術・インフラ・高度な人材への投資を行い、マレーシアが先進国と競争力を維持できるようにすること。
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- イネーブラーとしての宇宙:
社会福祉、災害管理、環境モニタリング、天然資源の管理、国家安全保障を支える戦略的ツールとして、国の宇宙能力を最大限に活用すること。
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- 国家主権と国益の確保 国際的規範の遵守と国際的地位の向上:
国際基準への整合、強固な国際協力の推進、宇宙外交におけるマレーシアの国際的地位の向上を含めて、マレーシアの国家主権と戦略的利益の確保し、国際的な規範を遵守すること。
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