2025.03.21活動報告

東南アジア地域最⼤の宇宙会議「シンガポール Global Space and Technology Convention & Exhibition (GSTCE)」で「Space Innovation and Financing Workshop」を開催しました!

2025年2月26-27日、東南アジア地域最⼤の宇宙会議でありアジア太平洋地域の主な宇宙会議のひとつであるシンガポールの宇宙会議GSTCE(Global Space technology Convention & Exhibition (GSTCE))が開催されました。今回で第17 回を迎え、名称がGSTCにE(&Exhibition)を追加、会場もマリナベイサンズへ変更し規模を拡⼤してのリニューアル開催となりました。

GSTCE 2025オープニング
600名収容の会場は満席、大勢の立ち見が出た

今回の開催では45か国、官民学から投資家まで多様なプレーヤー1,500名が参加。展⽰スペースも⼤きく確保され、前回までの3〜4 倍の出展となる60 のブースが並びました。GSTCEは、世界や地域及びシンガポールの宇宙動向の把握や関係者とネットワーキングができる機会です。シンガポールらしく、宇宙関連のテクノロジーを活⽤した経済やビジネス促進を中⼼とした機会であり、今回も “Commercialising Space ‒New Frontiers in Disruptive Innovations”のテーマの下、「企業家同⼠のネットワーキング・ビジネスのきっかけづくり」「宇宙活動による経済成⻑・産業拡⼤」「気候変動対応/地球環境の持続性」「(社会課題解決と社会経済発展を調和するための)技術とイノベーション」を会議の主軸・具体的な⽬的としながら、関連セッションが2⽇間に渡り展開されました。

(1) Space Innovation and Financing Workshop及びネットワーキングイベントの開催

CONSEOでは、前々回からB2Bワークショップを2年連続で開催し、日シンガポールの民間企業の競争案件形成を促進してきました。また、現地のジェトロ シンガポール事務所は、現地の⽇系・シンガポール系・その他外資系のイノベーション、スタートアップ、対⽇投資関連事業者/関係者等、計5,000 超のチャネルを有しており、今回も集客⾯で連携し、募集開始から数⽇で満席となりました。
2月26日には、JAXA ・CONSEO・Singapore Space and Technology Ltd (SSTL)社・ジェトロ共催、在シンガポール日本大使館後援でワークショップを開催し、今回も前回と同様規模の123名にご参加いただきました。また、今回はよりグローバルな参加を促すため、⽇シンガポールを核としつつ、ワークショップ名から「⽇シンガポール」という⾔葉を削除し、テーマ設定も主催者側も参加者も双⽅関⼼を持つファンディングをメインとしています。
主なプログラムとして2つのパネルディスカッションが行われ、JAXA・イギリス宇宙庁(UKSA)・シンガポール宇宙技術産業局(OSTIn)が登壇したファンディングのテーマと、ispace・民間投資家ほかに登壇いただいいたベンチャー企業の投資獲得に関するテーマについて議論が繰り広げられました。また、日シンガポール企業計13社によるピッチングセッションも行われました。

Agenda of Space Innovation and Financing Workshop on February 26, 2025

Time Agenda item
3:30 – 3:35 Opening address by Embassy of Japan in Singapore
3:35 – 3:45

JAXA presentation on Space Strategy Fund (SSF)
Mr. Shingo Maruoka, Advisor to the Director, Business Development & Industrial Relations Department, JAXA

3:45 – 4:15

Panel Discussion: Co-Creating the Future: Global Partnerships in Space Innovation Fuelled by fund and grant
Speakers:
Hiroshi Yamakawa, JAXA
Jonathan Hung, OSTIn
Professor Anupam UK Space Agency
Moderator: Hidetaka Aoki, Global Brain

4:15 – 5:10

Pitching Sesson: Japanese company presentations

1. Archeda
2. Satellite Data Services (SDS)
3. Space Shift
4. Sky Perfect JSAT
5. Ark Edge Space
6. Mitsubishi Electric
7. Digital Blast
8. ispace
9. Space One Co., Ltd.

5:10 – 5:25 Tea break
5:25 – 5:55

Pitching Session: Singapore company presentations

1. GALAMAD Aerospace
2. Kumi Analytics
3. LexaTexer
4. Zero-Error Systems

5:55 – 6:25

Panel Discussion: From Pre-Seed to IPO: Navigating the Space Investment Landscape
Speakers:
Atsushi Saiki, Chief Revenue Officer (CRO), ispace (IPO)
Hidetaka Aoki, Global Brain
Mark Shmulevich, Aloniq & Singapore Space & Technology Ltd
Luca del Monte, ESA
Moderator (Dr. Masami Onoda, Director, International Relations and Research Department)

6:25 – 6:28 Wrap up

■ ワークショップの趣旨

宇宙活動を通した今後の日本とシンガポールの経済共創を促すため、デジタル/グリーン及びイノベーションをキーワードとした商品やサービスを中心に、地球温暖化/気候変動対策やカーボンニュートラル、持続可能な開発目標(SDGs)の達成、農業の生産性向上、コネクティビティなどの多様な社会課題解決に向けた両国の民間企業の取り組み、また宇宙環境利用や宇宙空間の社会経済圏化に関する民間企業の取り組みを共有し、プレーヤー同士のネットワーキングを促進することを目的としています。

ワークショップの様子

主なテーマ:

  • - デジタル/グリーン技術:気候変動、炭素管理、アグリテック、食糧安全保障、コネクティビティ、MDA、スマートシティ、宇宙サイバーセキュリティといったグローバルな課題への取り組み

  • - 宇宙探査と利用:月探査、生命科学、バイオテクノロジーのイノベーションの推進

  • - 衛星製造におけるイノベーション: 機能性と効率性を高めるための新素材やセンサー技術を用いた衛星や探査機の開発。

■開会挨拶&宇宙戦略基金についての紹介

冒頭に駐シンガポール日本大使の石川浩司氏より開会挨拶が行われた後、日本の宇宙基金戦略についてJAXA基金事業部の丸岡参事より紹介がありました。

開会挨拶を行う
石川浩司 駐シンガポール日本大使

宇宙戦略基金について紹介する
JAXA丸岡参事

■ パネルディスカッション

ファンディングをテーマとしたパネルディスカッションでは、日本の宇宙戦略ファンドやシンガポールのファンドや助成金を活用し、最も革新的な技術ソリューションを開発するため、日本とシンガポールやその他の国際的な宇宙企業との間の共創機会について掘り下げました。宇宙分野のリーダーたちが、グローバルなパートナーシップによってどのように技術的な飛躍を加速させることができるか、国境を越えた協力のベストプラクティスを共有し、画期的なイノベーションのために資金や専門知識を活用するための道筋について議論が展開されました。

パネルディスカッション
Co-Creating the Future: Global Partnerships in Space Innovation Fuelled by fund and grant
登壇者(左から):
Mr. Hung (OSTIn)、 山川理事長(JAXA)
Professor Anupam(UK Space Agency)
モデレーター:青木 氏(Global Brain)

ベンチャー/スタートアップの投資獲得をテーマとしたパネルディスカッションでは、アーリーステージでの資金調達から株式公開に至るまで、投資によって進化する宇宙エコシステムを探りました。トップベンチャーキャピタリストと業界の専門家が一堂に会し、宇宙ベンチャーのあらゆる成長段階における資金調達の傾向、課題、機会について議論されました。アストロスケールやispaceのような成功事例をもとに、投資家の信頼を得るための重要な要素、規模拡大のための戦略、IPOへの道を切り開いた企業の教訓が紹介されました。

パネルディスカッション
From Pre-Seed to IPO: Navigating the Space Investment Landscape
登壇者(右から):
斉木 氏(ispace)、青木 氏(Global Brain)
Dr. Shmulevich(Aloniq & Singapore Space & Technology Ltd)、Mr. del Monte(ESA)
モデレーター:小野田 部長(JAXA)

■ ピッチングセッション

2つのパネルディスカッションの合間に、日シンガポール企業計13社によるピッチングセッションも行われました。

日本側登壇企業9社:ispace、アークエッジ・スペース、アルケダ、衛星データサービス(SDS)、スカパーJSAT、スペースシフト、スペースワン、デジタルブラスト、三菱電機
シンガポール側登壇企業4社:GALAMAD Aerospace、Kumi Analytics、Lexa Texer、Zero-Error Systems

アルケダ 城戸氏

衛星データサービス 粂野氏

スペースシフト 金本氏

衛スカパーJSAT 下妻氏

アークエッジ・スペース 蔵本氏

三菱電機 栗原氏

デジタルブラスト 山下氏

ispace 浦田氏

スペースワン 黒木氏

GALAMAD Aerospace Luwanga氏

Kumi Analytics Libbey氏

Lexer Texer Hoffman氏

Zero Error Systems Rajgopal氏

■ ネットワーキングイベント

ワークショップ終了後の盛り上がった温度感のまま、ネットワーキングイベントが開催されました。ワークショップ参加者のほとんどの方に参加いただき、熱心な商談の姿が見られました。

(2) GSTCEプレナリー 日本がFeatured Countryとなり過去最高のプレゼンス

■ JAXAと民間企業から過去最大の登壇 宇宙戦略基金をはじめ注目が集まる

GSTCEでは、2023年の第15回から、Featured Country(注目国)の冠スポンサー枠を設定しました。第15回そして前回第16回は、2年連続で英国が注目国となっていましたが、今回は日本が注目国となり、JAXA及び日系企業参加数ともに過去最も多く、日本パビリオン等での企業展示や日本勢の登壇機会も多数設定し、最大プレゼンスとなりました。

参加した日系企業12社(うち、11社はCONSEO会員 [企業名に下線]):
ispaceアークエッジ・スペースアルケダ衛星データサービス(SDS)
シンスペクティブスカパーJSATスペースシフトスペースワン
デジタルブラスト、ペールブルー、三菱電機日本郵船

■ パネルへの登壇

AIをテーマとしたパネルにはJAXA地球観測研究センターの杉田参事がモデレーターとして登壇しました。また、カーボン市場創出をテーマとしたパネルにはJAXA衛星利用推進センターの祖父江マネージャーが登壇し、水田メタン削減の取り組みを紹介しました。

“Transforming the Space Industry with Generative AI: Mission Planning, Autonomous Navigation, and Beyond”
JAXA杉田 氏(写真左)

“Carbon Markets and Space Technology: A Synergistic Approach”
JAXA祖父江 氏(写真左から2番目)

■ Japan Pavilionでの展示

ジャパン・パビリオンでは、地球観測衛星製造、衛星通信サービス、月探査サービス、衛星推進システム提供の各分野で計5社が出展しました。イベント初日には、Gan Kim Yongシンガポール副首相兼経済産業大臣が視察に訪れました。JAXA山川理事長から歓迎の挨拶とともに、各企業の事業内容やグローバルな事業展開について紹介があり、マスコミ等からの多くの注目を集めました。

Gan Kim Yongシンガポール副首相兼経済産業大臣がジャパン・パビリオンを視察
Photo Credit by Singapore Space & Technology Ltd

三菱電機
地球観測衛星開発・観測データに関する展示

Synspective
地球観測衛星製造分野として出展

スカパーJSAT
衛星通信サービスに関する展示

ispace
月探査サービスに関する展示

Pale Blue
衛星推進システムに関する展示