2024.02.27活動報告

アジア太平洋地域最大級の宇宙会議!シンガポール Global Space and Technology Convention (GSTC)で「日シンガポール宇宙経済共創ワークショップ」開催しました!

GSTCは、アジア太平洋地域の主な宇宙会議のひとつ(東南アジア地域最大の宇宙会議)であり、世界や地域及びシンガポールの宇宙動向の把握や関係者とネットワーキングができる機会です。今回で16回を迎えた会合に参加するとともに関連イベントとしてワークショップを開催しました。

写真1:GSTC 2024オープニング (©SSTL)

今回も昨年と同等に40超の国・地域の約430の組織から1,000人超の産官学の宇宙関係者及び投資家が参加し、テーマ:“Future World. Endless Possibilities”の下、「企業家同士のネットワーキング・ビジネスのきっかけづくり」「宇宙活動による経済成長・産業拡大」「地球環境の持続性」「(社会経済発展と地球環境対応を実現するための)技術とイノベーション」を会議の主軸・具体的な目的としながら、表1のようなキーワードを掲げたセッションが2日間に渡り展開されました。

表1:GSTC 2024におけるセッションテーマ・キーワード
技術革新 宇宙分野の技術革新 宇宙技術とさまざまな技術領域とのシナジー
宇宙機関 新しい宇宙活動国の登場と既存宇宙活動との関係性 新旧連携のあり方
GIS 衛星地球観測と衛星測位を組み合わせた宇宙からのマッピング
GNSS 大量のグローバル流通や自動運転システム化を支える 衛星測位
マリタイム 衛星地球観測が及ぼす海洋の監視・管理・行動への影響 規制枠組み
サイバー 宇宙インフラのセキュリティ 宇宙技術による社会のセキュリティ確保
自然災害 災害激甚化と気候危機の時代の官民パートナーシップによる課題対応
都市開発 宇宙による持続可能なスマートシティ 気候変動とヒートアイランド対策
計算処理 大量の宇宙データ時代の到来と軌道上でのエッジコンピューティング
ファンド 民間セクター拡大のための投資の環境・対象技術のトレンド・投資戦略
低軌道 商業宇宙ステーションに関する全体動向・技術動向・経済的成立性
輸送 衛星群時代の技術革新・運用最適化・再使用・安全性・スケーラビリティ・低コスト化
探査 軌道上(ロボット)製造技術 宇宙機の材料イノベーション
ライフ 宇宙ライフサイエンス研究と地上の医療技術進歩・食糧安全保障

日シンガポール宇宙経済共創ワークショップ及び関係者ネットワーキングの開催 (2/14)

GSTCプレナリー前日は、サイドイベントとして、様々なテーマのワークショップが開催されます。今回、CONSEOは、JAXA、JETRO及び Singapore Space and Technology Ltd (SSTL)社 と共催する形で、「日シンガポール宇宙経済共創ワークショップ」を開催しました。

両国の参加者ニーズを踏まえ、プログラムでは、①両国の民間投資家によるパネルティスカションと②両国の民間企業(計12社)によるピッチセッションで構成しました。

図1:JAXA、CONSEO、ジェトロ、SSTLによる共催
在シンガポール日本国大使館とOSTInが後援

表2:日シンガポール宇宙経済共創ワークショップの登壇企業

日本側 8社: シンガポール側 4社:
- アークエッジスペース - Block Armour
- アスエネ (宇宙システムのサイバーセキュリティ)
- グローダル - Atomionics
- グリーンカーボン (冷原子干渉技術による資源探査/火山/地下マップ/測位)
- ispace - Bralco Advanced Materials
- 三菱電機 (航空宇宙用等の先端材料の3D印刷/設計/加工/製造)
- スカパーJSAT - Kumi Analytics
- アマゾンウエブサービスジャパン (衛星×AIによるカーボン隔離評価/森林監視/不動産評価)

表3:日シンガポール宇宙経済共創ワークショップのプログラム

Time Agenda
3.30 PM – 4.00 PM Registration
4.00 PM – 4.05 PM Opening Address by Embassy of Japan in Singapore
Mr. Yoshiaki Takahashi, Deputy Chief of Mission Minister
4.05 PM – 4.35 PM Panel Discussion: Global Investment and Commercial Trends in the Space Industry
Speakers:
1. Dr. Naoko Sugita, Advisor to the Director, Earth Observation Research Center, Space Technology Directorate I, JAXA(Moderator)
2. Mr. Hidetaka Aoki, Partner, Global Brain (Panelist)
3. Mr. Justin Wilder, Managing Director, IQT Singapore (Panellist)
4.35 PM – 5.50 PM Pitching by Space Business Companies (6 minutes each)
1. Japanese Company: ArkEdge Space
2. Japanese Company: Asuene
3. Japanese Company: GLODAL
4. Japanese Company: Green Carbon
5. Japanese Company: ispace
6. Japanese Company: Mitsubishi Electric
7. Japanese Company: SKY Perfect JSAT
8. Japanese Company: Amazon Web Service Japan
9. Singapore Company: Block Armour
10. Singapore Company: Atomionics
11. Singapore Company: Bralco Advanced Materials
12. Singapore Company: Kumi Analytics
5.50 PM – 6.00 PM Closing Remarks by Office for Space Technology Industry (OSTIn)
Mr. Jonathan Hung, Executive Director
6.00 PM – 8.00 PM Networking Reception

■ 背景 目的 主なテーマとキーワード

2023年、日ASEAN友好協力50周年を機に、経済産業省及びジェトロをはじめとする日本の経済界は、日ASEAN経済関係の将来を見据え、新しい時代に双方の社会経済を「共創」し発展させていくコンセプトと方向性を示した「日ASEAN経済共創ビジョン」を策定、同ビジョンの下で日ASEANが取り組む「未来デザイン&アクションプラン」が合意されました。

写真2:WS登壇者による記念写真
開会挨拶は在星大の髙橋次席公使(中央ネクタイ背広)に行なっていただきました(©SSTL)

また、地上の社会経済発展のみならず、日本とシンガポールはともにアルテミス計画に参加し、また地球低軌道における宇宙バイオ実験プラットフォーム利用に係る戦略的提携を行うなど、宇宙の社会経済圏化に向けた取り組みも官民双方の手によって進められています。

このような動きの中、宇宙活動を通じて今後の日本とシンガポールの経済共創を促すため、デジタル/グリーン及びイノベーションをテーマ・キーワード(表4)とした商品やサービスを中心に、地球温暖化/気候変動対策やカーボンニュートラル、持続可能な開発目標(SDGs)の達成、農業の生産性向上、コネクティビティなどの多様な社会課題解決に向けた両国の民間企業の取り組み、また宇宙環境利用や宇宙空間の社会経済圏化に関する民間企業の取り組みを共有し、プレーヤー同士のネットワーキングを行うワークショップを開催したということが背景と目的です。

表4:日シンガポール宇宙経済共創ワークショップのテーマ・キーワード

  • - デジタル/グリーン
  • (地球温暖化/気候変動 カーボン/アグリテック 食糧安全保障 コネクティビティ)
  • - 宇宙探査/宇宙環境利用
  • (月面探査 宇宙機用新素材 ライフサイエンス/バイオテック)
  • - 上記の宇宙の商品・サービスを実現するための輸送

■ パネルディスカッション

冒頭のパネルディスカッションでは、両国の民間投資家が御互いの市場をどのように見ているかについて登壇企業・参加企業の関係者が知ることで民間企業の海外展開の際のヒントとなること、またパネルディスカッション後の企業ピッチとその後のネットワーキングに両投資家も参加し投資可能性を見ていただくことを狙いとしました。

写真3:パネルディスカッションのようす(©SSTL)

両投資家からは、宇宙分野は潜在的なリスクがありながらも、対象企業のユニークなテクノロジーやスタッフに対する理解を深め、スタートアップ・スケールアップすることを期待しながら、忍耐強く投資を行う必要性が話されました。また、両氏は、成功した起業例を紹介しながら、両国の民間企業がどのように協力できるかについて述べ、日シンガポールにおける宇宙ビジネスのコラボレーションとイノベーションの可能性に期待感を示しました。

■ ピッチングセッション

続くセッションでは、各社からの登壇者が自社の商品・サービス・ソリューションについてピッチングを行いました。

写真4:アークエッジ 福代氏(©SSTL)

写真5:グローダル 宮崎氏

写真6:三菱電機 粂野氏(©SSTL)

写真7:スカパーJSAT 森合氏(©SSTL)

写真8:AWSジャパン 永野氏(©SSTL)

■ ネットワーキング・レセプション

ワークショップ終了後の盛り上がった温度感のまま、場所も時間も連続してネットワーキングの時間を設けました。ワークショップ参加者のほとんどの方にネットワーキングも参加いただき、予定の終了時間を超過して活発なネットワーキングが行われました。

写真9:WSは立ち見も出る盛況ぶり(©SSTL)

写真10:WS後のネットワーキングも盛況 (©SSTL)

当日のアーカイブ映像は、以下からご覧いただけます。
YouTubeリンク(Coming Soon)

(2) GSTCプレナリー 日本勢として、過去最高のプレゼンス (2/15-16)

■ JAXAと民間企業から過去最大の登壇で例年にない存在感

GSTCプレナリーでは、日本人として計8名(うち、4社はCONSEO会員)の登壇がありました(表5)。前回は5名であり、それ以前の回も含めて過去最大のプレゼンスとなりました。

表5:GSTC 2024 日本の登壇者一覧(カッコ書きは登壇したプログラム)

  • - JAXA 杉田参事
  • (Space Agency Dialogue: Amalgamating Data, Resources and Knowledge to Help Younger Space-Faring Nations)
  • - 三菱電機 粂野氏 及び スカパーJSAT 森合氏
  • (Panel: Humanitarian Horizons – Mitigation, Preparedness, and Recovery from Disasters)
  • - シンスペクティブ 新井氏
  • (Panel: Sustainable Futures: Using Satellite Data for Climate-Resilient Smart City Planning)
  • - 三井物産エアロスペース 中西氏
  • (Panel: Pioneering Possibilities – Enabling Next-Generation Space Stations to Propel Technological Frontiers)
  • - インターステラー 熱田氏
  • (Panel: Celestial Innovators: Revolutionising Launch Services for Tomorrow’s Missions)
  • - ispace 浦田氏
  • (Panel: Advancing Innovation in Space Exploration – Robotics Redefined for Manufacturing, Materials, and Beyond)
  • - IDDK 吉岡氏
  • (Panel: Space Life Sciences – Nurturing Health, Sustainability, and Innovation on Earth)

写真 11:JAXA 杉田氏
“Space Agency Dialogue: Amalgamating Data, Resources and Knowledge to Help Younger Space-Faring Nations” (2/15)

写真 12:三菱電機 粂野氏 及び スカパーJSAT 森合氏
“Panel: Humanitarian Horizons – Mitigation, Preparedness, and Recovery from Disasters” (2/15)
(©SSTL)

写真 13:Synspective 新井氏
“Panel: Sustainable Futures: Using Satellite Data for Climate-Resilient Smart City Planning” (2/15)
(©SSTL)