CONSEO設立総会・シンポジウム レポート

2022.09.08

衛星地球観測コンソーシアム設立総会・シンポジウム レポート

概要

2022年9月7日(水)、虎ノ門ヒルズフォーラムホールBおよびオンライン(Zoomウェビナー)にて、「衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)」の設立総会・シンポジウムを開催しました。

設立総会(第1部)15:30~16:00

宇宙航空研究開発機構(JAXA)寺田弘慈理事を仮議長に選出した後、第1号議案「衛星地球観測コンソーシアムの設立」、第2号議案「衛星地球観測コンソーシアム規約の制定」、第3号議案「会長・副会長・幹事会の選出」の採決が行われ、すべて議決されました。

第3号議案をもって会長に選出された笹川平和財団角南篤理事長が議長に就任し、第4号議案「2022年度の活動計画」の採決が行われ、議決されました。

設立シンポジウム(第2部)16:30~18:45

司会進行:Forbes JAPAN執行役員Web編集長 谷本有香

オープニング

16:30の開会とともに、衛星地球観測とCONSEOへの期待感を表現したオープニング映像が放映されました。

開会挨拶

角南会長が、「衛星地球観測コンソーシアムが目指す未来と取り組みについて」と題し、開会の挨拶をいたしました。CONSEOの設立経緯とPurpose, Vision, Mission、それらをまとめた「設立趣意書」について説明すると共に、「今後、激変する世界情勢を認識しながら、日本の強みと将来あるべき姿を意識し、産業界、学術界、行政の方々と協働し、本コンソーシアムを推進してまいります。」と力強い言葉でCONSEOのスタートを宣言しました。

来賓ご挨拶

ご来賓の内閣府宇宙開発戦略推進事務局 審議官 坂口昭一郎様、文部科学省 研究開発局長 千原由幸様よりご挨拶をいただきました。

基調講演

衛星地球観測の目指すべき未来、将来像について、産業、学術、技術の観点から有識者3名をお招きし、基調講演をいただきました。

「AI戦略と宇宙」北野宏明 ソニーグループ株式会社 執行役専務・CTO
ご講演前半は内閣府作成「AI戦略2022」について、後半はソニーグループの宇宙事業についてお話しいただき、人口減少や大規模災害等、日本が直面する危機に対し、デジタル化やAIを活用し、デジタル・ツインの構築やグローバルネットワークの強化によって、社会のレジリエンスの強化が必要であるとの講演をいただきました。

「地球観測が支える気候変動研究と持続可能な未来」沖大幹 東京大学 総長特別参与、大学院工学系研究科教授
宇宙からの観測は社会的共通資本(インフラ)であり、観測なしに予測はできず、科学の追求が社会利益に直結する事、そして、これからは、民間が公的役割も担う時代になり、公共財としての性質を持つ地球観測情報を非排他的に世の中に提供しつつ、ビジネスとしても成立させていく新たなモデルが必要であるとのお話をいただきました。

「新しい地球観測~「地球まるごと、より良い未来」を目指して~」山川宏 JAXA理事長
安全保障、社会経済情勢、地球環境等の激変する環境において、新しい地球観測活動の姿を実現するためには、地球観測と測位、通信の境目をなくし、宇宙からのリモートセンシングを地上のIoTセンサをはじめとする数多くのセンサネットワークの一つ捉え、新しい価値を世の中に創出していく必要がある。そして、その創出にあたっては、多様なプレーヤによるオープンなパートナーシップの下、連携共創していくことの必要性をお話しいただきました。

今年度のコンソーシアム活動について

衛星地球観測コンソーシアム事務局を代表し、平林毅 JAXA地球観測統括より2022年度の活動方針、提言のまとめに向けた議論の進め方、分科会・WGの開催、若手・中堅のネットワークも目的とするワクワクワークショップ等についてご説明頂きました。

また、広報活動についてはCONSEOアンバサダーとして桝太一 同志社大学ハリス理化学研究所助教、油井亀美也 JAXA宇宙飛行士の就任が発表され、両名からのビデオメッセージが放映されました。

CONSEO広報アンバサダー・桝太一さんからのメッセージ
CONSEO広報アンバサダー・油井亀美也さんからのメッセージ

衛星地球観測とともに描く未来・ビジョン~コンソーシアムへの期待~

ナビゲーター:白坂成功 慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授

産学官の多様な分野からお招きした7 名の方に、それぞれのお立場から「衛星地球観測によって目指したい将来像や実現したいビジョン」についてショートスピーチをいただきました。

中須賀真一(東京大学教授)
政府が予算を出す意義価値(公共利用、産業振興、技術の維持発展、外交、世界への貢献)において、衛星地球観測を進めるべき理由・リターンは何か、どこに貢献するべきか政府に対する提言(松竹梅)としてまとまることに期待される旨お話いただきました。

高薮縁(東京大学教授)
最先端技術による多種多様なデータを市民生活・産業を豊かにしたい、日本に適した戦略を検討したい旨お話いただきました。

岡島礼奈(株式会社ALE代表取締役社長)
気候変動に伴い、クライメイトテックやジオエンジニアリングが注目を浴びているが、地球を実験場とは出来ない事から、多様なデータでのデジタル・ツイン、システムが必要である旨お話いただきました。

松本紋子(ANAホールディングス株式会社グループ経営戦略室事業管理部宇宙事業チームマネジャー)
航空機は3次元情報が重要であり、ドップラライダやGOBLEUなどを紹介されました。各産業の多様データと組み合わせることで価値が創出されるので、多様な業種との連携に期待される旨お話いただきました。

中村貴裕(Midtown, Inc. 代表取締役CEO)
気候変動の先にネットポジティブな世界を目指し、気候変動・生物多様性における新たな指標(TCFDやTBFD)に対して貢献したい、また、プロダクトアウトより、非宇宙産業含め圧倒的なニーズのまとめに期待される旨お話いただきました。

神武直彦(宇宙サービスイノベーションラボ(SSIL)代表理事/慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)
デジタル化が進む中、衛星地球観測データをコモデティ化することで、地球規模視点でリテラシーが高まる事、また、世界動向の動向把握や長期的視野での戦略、制度の検討を期待される旨お話いただきました。

白坂成功(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)
多様な人との共創により専門家バイアス(その分野の常識・視点)を超える場として期待される旨、また、新たな価値と継続した価値を生み出す両立が重要である旨お話いただきました。

閉会挨拶

中須賀副会長より閉会のご挨拶をいただきました。本コンソーシアムが、日本社会の課題解決に真摯に向き合う姿勢と、前進と発展を繰り返し、成長する仕組みを発信する組織となるため、また、衛星地球観測の将来を考えるために手を携えて邁進しようという旨をお話しいただき、シンポジウムを締めくくられました。

ネットワーキング

現地でシンポジウムにご参加いただいた企業・団体の皆様を対象に、シンポジウム終了後ホール内及びホワイエスペースにてネットワーキングの時間を設けました。名刺交換やご歓談を通じて、会員同士の結びつきを強める様子が見られました。

設立総会・シンポジウム概要

日時:2022年9月7日(水) 設立総会 15:30 – 16:00、設立シンポジウム 16:30 – 18:45

場所:虎ノ門ヒルズフォーラム ホールB、Zoomウェビナーによるオンライン会合

参加人数:来場者 計188名、オンライン延べ550名、合計738名

CONSEO会員数(9月7日時点)

法人・団体 107団体

有識者会員 13名

オブザーバ 11団体